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言葉が話せなくてもどかしいと感じたのは久しぶりだ。 「血がついてる」 「ごめん」 「もう無理して話しかけなくていい」 簡単なことがこんなにも難しい。 だから人を避けてきたのに。 届かなくていいと諦めてるのに。 なんで、 「?どーした?」 なんで話しかけてくるんだ。 委員長だからか? 保身のためか? 喋らないのが珍しいから? (何も考えたくない。) 俺はそのまま踵を返した。 このまま学校にいる気分になれない。 俺を呼び止める御波の声が聞こえたけど 振り切るように足早に学校を去った。 * 「えぇー……………」 遠くなっていく背中を呆然と見送る。 お前のせいだぞ真昼……。 心の中で責任転嫁をしてみるが虚しくなった。 おはようって言ったら 目があったよね? いやむしろガン見されたよね? 睨むっていうよりポカーンとしてる感じだったのに。 何が彼の気分を害したのだろう。 「何か言ってくれないとわかんねぇよ…」 もう見えなくなった背中にポツリと呟く。 ため息をついて肩を落とす。 キーンコーンカーンコーン チャイムが2時間目終了を告げる。

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