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25 予言ーかねごとー

今日はまじめに1限から授業に出た。 俺がいることにクラスメイトは驚いた顔をした。 隣の席のやつはなんだか落ち着かない表情だ。 ちなみに名前は覚えてない。 申し訳ないけど、この前やっと御波の名前を知ったくらいだからな。 前回の板書はとっていないが適当に黒板の文字を移していく。 科目は数学だ。 この科目って板書いるのか?? 『声を出したい』 今朝そう宣言したものの、如何せん何から手を付ければいいのか…。 調べてみればどうやら『トラウマを克服』するのが一番いいらしい。 っていうかそれもう結論じゃん。 段階は? それに行き着くまでの何かないわけ? しかもトラウマを克服って。 男にレイプされたのをどう克服すんだよ。 御波は手伝うって言ってくれたけど。 実は男にレイプされてそれで声が出ないんですー このトラウマを克服したら声が出るようになるかもー なんて言えるわけがない。 無理無理無理。 引かれてフェードアウトされるに決まってる。 そしてもう一つ気になること。 俺は声を出せないまま変声期を迎えている。 喉仏は他の奴らみたいに出てるし 確実小学生のときとは違うわけだ。 声が出せたとしてもそれがどんな声なのか。 全く見当がつかない。 バイブの音がしてスマホを確認する。 御波だ。 『んで具体的には何するの?』 それを悩んでるんだろーが!!! 俺は思わず頭を抱える。 チラッと御波にし視線を送ってみれば、 なるほど賢い。 あいつ、電子辞書を盾にスマホをいじってやがる。 いやそんなんは今はどうでもよくて。 パチっと御波と視線が合う。 呑気に 前見てないと先生に怒られるぞー というジェスチャーを送ってくる。 それはお前もな。 「こら御波!窓の方を見るんじゃない!」 それ見たことか。 怒られてやんの。 ほぼ同等の文を御波に送る。 『うるせー!』 とのことだ。 返信する前にまたスマホがバイブする。 『で、どーすんの』 くそ、誤魔化せなかったか。 担当の女教師と目があった気がするが、まぁいい。 とりあえず適当に返信しとこう。 『無理に声だそうとすると喉を痛めて余計でなくなるらしい』 これは本当だ。 声帯の筋肉の緊張はあまりよろしくないらしい。 当事者のくせに知らないことが多くて正直焦っている。 堂々宣言したくせにすでに詰んだなんて笑えない。 『なるほどなー。』 続いた文を見てぎょっとする。 『じゃ、今日昼一緒に食お。屋上‼』 まじかよ。 また視線を送ると、にっこり笑って手を振っている。 ちなみにこのあと、御波はまた怒られた。

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