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椅子から立ち上がって、床に崩れ落ち、ひくんっ、ひくんっと跳ねている身体に近づいていく。
「…っ、ん、ぅ…ゆぅ、ひゃ…」
呼びかければ、最早焦点のあってない瞳がぼんやりとこっちを向いた。
男がペニスを引き抜き、こぼり…と新鮮な白濁液が孔から糸を引いて零れるのが見える。
その頬には泣いた跡が幾つもついていて、今も新しく痛々しい跡を刻んでいた。
俺が頬に触れると、ほうっとしたように表情を緩める。
そんな変化に、ぎゅうと胸が締め付けられたように痛くなった。
「…(こんなにぼろぼろになって、好きでもない男に犯されて、穢されて、)」
それでも流羽は…俺だけを求めてくれる。
今日ずっと、
見て見ぬふりをしていた手が、また伸ばされた。
「…っ、ひ、く…ゆう、さん…らぁ…」
今度はちゃんとそこに触れて、恋人にするように指を絡めると
凄く幸せそうな笑みを零す。
…ごめん、と謝る代わりに、ぐちゃぐちゃに汚され、犯され続けた恋人を抱き締めた。
耳元に唇を近づけ、
るう、と小さくもう一度呟く。
「…愛してるよ」
熱を帯びて潤む瞼に入れていた力を緩め、ふ、と息を吐くように囁いた。
その瞬間、
「…っ、」
びくんっ
…今日一番ってぐらいに抱き締めている身体が跳ねた。
「…ふ、ふへ…、…おれ、も…」
泣きそうな顔をくしゃっと歪ませながらそう返してくる恋人の唇に、静かに自分のそれを重ねる。
…他の男の精液や唾液で濡れたそのやわらかい唇は、やっぱり涙の味がした。
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(俺が普通の男なら、)
(…そんな風に泣かせたりせずに、君を幸せにすることができたのにね)
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