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Ennuyeux 3

[関町side]  こんな経験初めてだ。  少し大げさな例えだが、まるで雷に打たれたかのような衝撃を受けた。  今まで付き合ってきた相手に対して、こんな風になった事は無いし、告白も別れも向こうからだった。その度に「いいよ」しか口にしたことがない。  なんとなくの付き合いは長続きするわけがなかった。  本気の恋はこんなにも胸をときめかせるモノなのか。  しかも相手はどこからどうみても男。中性的という訳でも美人という訳でもないが色気のある人だ。  身長は同じくらい。体型は細めで少しほりが深く顎鬚をはやしている。  パティシエをしているので、普段は髪をひとまとめにしているのだが、帰る時はそれをほどいていて、黒のライダースと細身のパンツというスタイルは、パティシエをしている時とは違う男らしさがありカッコイイ。  龍之介の事を意識し始めたのは、初めて彼の作ったお菓子を食べた時だ。  清美からは話しで聞いていたので、いつか会ってみたいと思っていた。  それが叶ったのは、原が仕事で暫く日本を離れる事になり、彼らの家に招待され、そこに龍之介も呼ばれていたからだ。  清美が話していた通りに、お菓子を作るのが好きな人だった。  しかもお菓子を作ってくれて、甘いものが好きで喜んで食べていたら、そんな自分を優しく見つめていた。  そして目が合って、心臓を打ち抜かれたわけだ。  住む場所が同じ方向にあり、途中まで一緒にかえりましょうと誘った。  もっと一緒にいたいし、この芽生えた想いを伝えたいという気持ちもあった。  少しだけ良いですかと近くの公園へと誘った。 「どうした?」 「一目惚れしました。好きです」  と告白したら、 「俺はノンケだから無理」  と断られた。 「えっと……」  ノンケってなんだとスマートフォンで調べたら、ゲイ用語らしく、同性愛のケのない人(その気のない人)らしい。

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