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Bonheur 2
レセプションが終わり、関町が龍之介の部屋へと送ってくれる。
「関町、腹にはまだ余裕があるか? 」
「あ……、そうですね」
お腹の具合を見るように撫でている。
「これ、食えよ」
「わぁ、エクレア。綺麗な緑色のクリームですね」
それを手に取ると高く掲げて眺めている。
「食べてみろ」
「はい」
大きく口を開いて一口。直ぐに顔がふにゃりと緩む。
「はうぅ~」
口の端にクリームをくっつけて、蕩けるような笑みを浮かべる。
「ついているぞ」
自分の口の端を指でたたくと、気が付いたようで真っ赤な唇がそれを舐めとった。
思わずその仕草に目を奪われて、すぐに我に返り視線を外す。
「はぁ、美味しかった」
ウットリとした声でそう呟き、
「龍之介さん、御馳走様です」
と両手を合わせた。
「これ、何で出来ているんですか」
「エクレール・ピスターシュ・ノワゼット。ピスタチオのクリームの中に細かくしたカシューナッツを混ぜたものだ」
「そうなんですね。ピスタチオのクリーム、初めて食べました」
「ついてるぞ」
口の端についたクリームを舐めとる。
「うん、流石、俺。美味……、ん」
唇を重ね、舌が絡みつく。
「はぁ、龍之介さん」
甘い。
とろけてしまう。
「お前が俺の菓子を食う姿がすげぇ好き」
美味そうな顔をするからと、唇を撫でる。
「美味しいですよ」
また唇が触れ合う。
「はぁ、大雅、キスだけじゃ足らねぇ」
「俺もです」
「もっと良い顔、見せろよ」
「はい」
スーツを床へと脱ぎ捨てると、
「しわになります」
それを拾い上げてハンガーに掛けていく。意外と細かいなと、それを邪魔するようにキスをする。
「ん、駄目ですって」
でもキスをすることはやめない。
「クリーニング出すんだから、良いよ」
ネクタイを外し、シャツのボタンを外すと、関町はあきらめたかため息をついてそれを床へと落とした。
「龍之介さんって意外とズボラです」
「お前が意外と細かすぎるんだよ」
互いにそう言い合い、そして顔を見合わせて笑う。
「そういう所、嫌いじゃねぇよ」
「奇遇ですね。俺もです」
足りない所を補えますからと、関町が前向きな発言をする。
「俺でも龍之介さんにしてあげられることがあるんだって、それがすごく嬉しい」
「まぁ、お前のいい所は顔だけだものな」
「酷い、そう思ってたんですか」
「あぁ。でも、これから知ればいいんだ、そうだろう?」
「はい、これからゆっくりと、ですね」
手を絡ませ、キスをする。
「今度は俺の番な」
たっぷり食べさせろと腹を撫で口角を上げれば、関町の下半身のモノが天をむく。
「おいおい、いやらしいなぁ」
細く長い指を絡ませれば、ビクッと反応し身体は跳ねる。
「龍之介さんが煽るからっ」
「可愛いの。じゃぁ、美味しく頂くとしようか」
先っぽにかるくキスすると、やたら恥ずかしそうに関町が手で顔を覆う。
「もう、龍之介さんがエロ過ぎる……」
「俺はこういう男なんだよ」
幻滅したかと顔を近づければ、
「いえ、最高です」
と額をくっつけて、関町がふにゃっと表情を緩めた。
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