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第3話

アイツが部屋からでてってしまって、さっきまでは甘い恋人のようなやり取りをしていたのにそれが嘘だったみたいに静かな部屋でひとりだ 「ご飯、もう少しで出来そうだったのに、」 今日アイツが突然、家に行くって連絡をしてきたからうきうきしながら2人分の食材を買って作ったのに 「ほんとに自分勝手なやつなんだから」 ぽつんと独り言を言って、でも好きだ、と心の中で唱えて静かにアイツのぶんの料理をゴミ箱に捨てた これがいつものことなのに俺はやっぱり2人分の食材を買って料理を作ってしまう きっと今頃アイツはきっとあの人と一緒に居るんだろう 俺にさっきしてたみたいにあの人に向かって微笑んでるんだろう そう思いながらひとりで食べた料理はやっぱり美味しくなかった

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