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第12話
もう元には戻れない
仲のいい先輩後輩の関係になんて戻れない
それでもいい
最後の俺の悪あがきをしてアイツの前から消える
そう決めたのに
全て終わらせるはずだったのに、
「お前が言ったんだろ?ナナミの代わりになるって」
アイツは簡単にそうはさせてくれなかった
アイツにキスをしてから、しばらく経って俺はまだアイツと同じベットの中にいた
少しだけこの余韻に浸りたいって、まだアイツを少しだけ感じていたいって、そんな風に思ってしまって未だにいてしまう自分に嫌気がさす
でも、もう帰らなければ、
これで終わりにしなければ
そう思って思わず声を掛けてしまった
「あんな事言ってごめん、あんな事してごめん
もう、ここには来ない
もう、お前にも関わらないから、
どうか昨日の俺とのことはもう忘れて」
アイツの髪を撫でながらそう言って、ベットから降りようとしたその時、
「なに、勝手に終わらせようとしてんだよ」
グイッと腕を引っ張られ、再びベットの中に引き寄せられた
「エッ、、、!」
急なことに驚いて思わず声を上げてしまった
そして、見上げたらアイツの顔が目の前にあってまた押し倒されたことに気がついた
まさか、アイツが起きていたなんて
「おま、起きてたのかよっ、」
「え?お前、何勝手に出て行こうとしてんの?」
「いや、、、てかいつから起きてたんだよ、」
焦ってアイツの言葉を無意識に無視しまった俺
もしかして、ずっと起きていたんじゃないのか
そう思って冷や汗が止まらなかったけど
「お前が忘れろとか言って俺の髪を撫でた時、で、何これで終わらせようとしてんの?」
幸いにも俺がキスしたのは気づいていないらしくて安心したけれど、アイツからの質問攻撃は止まらない
「お前から吹っかけてきたんだろ?なのに何逃げようとしてんだよ」
まっすぐと俺を見つめる目は少しも感情が感じ取れなくてゾッとした
「それはッ、、俺だって悪いと思って、だからっ!」
そんなアイツに動揺して出てくる言葉を紡いだけれど上手いセリフは出てこなくてすぐにアイツの言葉に消された
「だったら!」
部屋に鳴り響く声、今まで聞いたことがないくらいドスの利いた声
「最後まで俺に付き合えよ、逃げようとすんじゃねえ、やるんなら最後までアイツでいろよ」
「え、、、?」
目を見開く俺を見つめたまま嘲笑うアイツがだって、と続ける
「お前が言ったんだろ?ナナミの代わりになるって」
こうして、俺たちの関係は始まった
もう、仲のいい先輩後輩じゃない
甘い恋人の関係でもない
そしてセフレでもない
アイツから言われたこと、
お前の事はもう抱かねえ
まだ、セフレという関係だったら楽なのに
アイツは俺とあの人を重ねる、そのシチュエーションはまるで甘い恋人のようで毎回ドキドキしてはまた、胸が酷く痛くなる
俺達の今の関係って一体なんていう名前がつくんだろう
あの人に会うまでの代用品の俺は、【都合のいい男】その名前がピッタリなのだけれど
いつか俺達の関係に名前が付いたとき、俺にピッタリのこの名前も変わるのだろうか、
なんて、そんなことを考えながらアイツの事を今日も想う
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