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ミイラ男との出会い

「うん。いい出来だ」 カムラはもぐもぐとインドカレーを食べる。 器用に包帯を汚さずに食べる姿は育ちの良さを思わせる。 きっと、いい所のお坊っちゃんなんだろうな。 俺とは、違う世界で生きてきたんだろうな。 俺はカムラの優雅な食事姿を見ながら食べ始める。 カムラと出会ってもうすぐ一年。 初めの頃は、どうやって接したらいいのか分からなかったが、何となくカムラとの空間は居心地が良い。 食事だって、一人で森の中で住んでいた時は、何でも腹の中に入ればいいやと思っていたくらいで、料理をして誰かと食事を楽しむなんて自分には縁のない話だと思っていた。 「ラン、美味しい?」 「……まぁまぁ」 本当はすごく美味しいって言いたいのに、恥ずかしいから言えない……。 「……良かった」 カムラは俺の「まぁまぁ」って言葉を好意的に捉えてくれたらしく、安心したように再びカレーを食べ始めた。 カムラと俺が出会ったのは、ちょうど去年の11月。 森の生活で寂しさを感じていた時、森を訪れた旅人にお化けたちが住むゴーストタウンがあることを教えてもらった。 その名も「パンプキンタウン」。 化け物の楽園だとか。 興味を持った俺は、意を決してパンプキンタウンに行くことにした。 旅人から、夜行列車フェニックスの切符をもらい、列車に飛び乗った。 ベガやアルタイルが囲む夜空の大三角形のトンネルをくぐり抜け、身一つでパンプキンタウンにやって来た。 ……しかし、何のあてもない俺は、しばらく公園や駅前などで寝泊まりしていた。 働くにも住所がないから働けない。 マンションを借りようにもお金が無いから借りられない。 さすがに困って、森に帰ろうと思っていた。 「君、どうしたの?」 そんな時、声をかけてくれたのが、カムラだった。 「えっと……」 誰かに話しかけられたことがない俺は黙っていると、「もしかして、家出?」と聞いてくる。 「違う……その、家がなくて……」 「あー家がないのか……お金は?」 「持ってない……働こうにも住所がないとダメだって言われて……」 「……じゃあさ、僕とルームシェアしない?」 これがカムラとルームシェアすることになったきっかけだった。

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