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第37話
ドアを開けると待ち構えていたのは、邪魔者一”香奈”、邪魔者二”音稀母親”、邪魔者三”音稀父親”。大切なことなのでもう一度、邪魔者三”音稀父親”。
音稀父親だ。音稀の親父。親父──いやなんで親父までいんだよ。チョーンと仲間に加わってんじゃねえっつの。
仕事はどうした仕事は。息子カップルの旅行に参加するため、親父も有給を取ったのか? どこの世界にンなお邪魔虫する親父がいんだ。いや、目のまえにいたよ。
開いた口がふさがらねえとはこのことだ。もうつっ込む気力すら消え失せた。朝の挨拶だけ交わすと音稀の腰に手をまわし駐車場に向かった。
で、駐車場は俺の愛車まえ。またもや背筋が凍ったね。いや、全身急速冷凍だ。
俺の愛車ランクルに横づけして止まっていたのは音稀親父のセダン、そこまでは理解できる。ここまでくるのに足は必要だ、それに現地までの足も車で向かうわけだからな。
音稀を助手席に乗せドアを閉めると、トランクに俺たちの荷物をin。すると透かさず邪魔者一二三の荷物もinされた。? 燃費節約のため重量削減で荷物乗せろってか。セコ。
まあいいやと深くは考えずにトランクドアを閉め、無言のまま運転席に乗り込みエンジン始動。すると今度は後部座席に邪魔者一二が乗り込む。おいおい。
どうにも嫌な予感がぷんぷんしやがる。駐車場から移動すると親父が俺の駐車スペースにセダンを止めエンジンを切り、のそのそと俺の車に乗り込んできた。
後部座席には涼風一家が勢ぞろい、邪魔者一二三とならび鮮やか──って、なんでやねん。
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