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第47話

「いいじゃない、楽しみましょうよ。もとは一将ってノーマルでしょ、だったら音稀より女の私を抱きたいと思わない?」 「は? 思わねえし。つか離せよ、俺はもう音稀以外でそそられるこたねえんだ。たとえ今目のまえに巨乳の女がいたとしても飛びつくことはないね。だいたいさ、おまえ貧乳じゃん」 「ぺったんこで悪かったわねっ」 「痛てえっ」  痛恨の一撃。俺の頬に香奈のビンタが炸裂した。予測のねえ攻撃はガチで痛い。俺は涙目、香奈は鬼の目。暗くて見えねえから想像だけど。  頬を押さえ「おまえふざけんなよ」と文句を吐いたところで部屋のドアがひらく。 「どうしたの、一将さん──」  突如として廊下の灯かりが部屋にさし込み目がくらむ。ドアのまえで立っていたのは音稀。そこで俺は悟ったね、これはヤバいと。だってこの状況、どうみても今からヤリますって感じじゃん。  俺の名を呼んですぐに息を呑む音稀、俺と組み敷かれた(ように見える)姉貴を目にしてフリーズ。そして俺もフリーズ、情けねえが思考が停止して言い訳すら出てこねえ。  するとまたバカ女が調子こいて「ふふん」と音稀を煽る。以下、香奈のターン。 「あんた今までどこに行ってたのよ。悪いけど今さ、取り込み中なのよ。これから私、あんたの彼氏とヤるから。一将のって大きいからあ、もう口が疲れちゃってえ」 「だから今から一将が頑張ってくれるのよねえ。期待してる」──うふふと笑いながら俺の腹を撫で音稀を挑発する魔女。語尾にハートマークがついてるのが見える。  そこまで勝手を言われやっと呪縛が解けた俺、今度こそ香奈をつき飛ばしてベッドから退避。ドアにしな垂れかかるよう身体を預ける音稀の許に駆けよると、ぜってえ俺は浮気なんてしてねえと訴える。

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