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第48話

「あいつの言ってるこた全部嘘っぱちだ。分かんだろ、俺には音稀だけだって。つか俺も訳わかんねンだって、目が覚めたらあの女に襲われててさ──」 「……ソレ早くしまいなよ」 「あ?……あっ──」  俺の決死たる言い訳を遮り、うつむき音稀が指摘する。視線をたどってびっくり、なんと俺の下半身はすっぽんぽん。見事な股間が垂れ下がっているではありませんか。  言い訳は後回しだとばかりに部屋の照明を点けると、知らず脱がされていたハーフパンツをベッドにて発見、ついでに奪取したボクサーパンツとともに慌てて穿く。  準備はととのった、あとは音稀に謝り倒すだけとドアのほうをへふり向くと、肝心の音稀は爆涙で「酷いよ一将さん」と残しエスケープ。やべえ、これはマジでやべえ。  ベッドでは香奈が「ははっ、ばーか。いい気味」とほざいている。いつもなら頭にきて言い返すところだが、今の俺にそんな余裕など微塵とねえ。  そうだ、追いかけねえと。そう思うがはやいか音稀の許に駆け出した。 「音稀──音稀、待てって」  こいつ足速え、なんて考えてる場合じゃねえ。音稀を追って夜道を走り捕まえる。腕を取り強引に捕獲すると、暴れる音稀の動きを封じるため抱きしめる。  泣き叫ぶ音稀。そこへ尚も俺は無実を訴える。 「聞けって。ぜってえ俺は音稀を裏切ったりしてねえって。つかおまえの親父に散々酒飲まされたんだぞ、勃つモンも勃たねえよ。だいたい相手が香奈じゃあ、欲情なんて湧かねえって」 「信じてくれよ。俺はハメられたんだって」と必死に言い募ってみた。

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