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第55話

 職場の上司にすらしたことねえくらいの完ぺきな九十度お辞儀、からつづいて土下座。でこに石が当たって痛い。  テンプレな行動を取る俺を見ながら音稀が「ふふ。何をやってるんですか」と笑う。それから俺の腕を掴み「ほら立って」と立ち上がるのを手助けしてくれる。  よかった俺の勘違いか。少なくとも音稀の態度からすっと、今すぐ捨てられるわけじゃねえよなと一縷の希望を抱く。首の皮一枚だがつながった状態か、昔の俺を殴ってやりてえ。  腕に伝わる音稀の手の温もりが愛しい。ぜってえこいつを手放したくねえ。もう二度と浮気なんてしねえと約束する。たとえ音稀が殺人鬼だとして、こいつに殺されるなら本望だ。 「音稀──愛してる」と心の底から想うことをつたえた。抱きしめる。 「僕も一将さんを愛してます。だからね、一将さんに楽しんでもらおうと、僕ちょっとしたイベントを企画したんです」  俺の背中に腕をまわす音稀。胸に頬をよせ目を閉じうっとりと話す。すっかり許されたものと安心した俺、音稀に「イベント、どんな? 月夜エッチとか」なんて調子づいて訊く。  すると音稀は「ハプニング・パーティーです」と言う。

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