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第56話
そうかハプニング・パーティー──って、ちょっと待て。百歩譲って月夜エッチがスルーだったのは良しとして、ハプニングパーティーってなんだよ。ハプバーの進化系か。
浮気したとネチネチ蒸し返されて責められている気分。俺に対しての当てつけかよ、ンなイベント嬉しくねえや。こんな夜遅く滝に向かうとか、ならシャツについた血飛沫も演出かよ。
すっかり気分が萎えちまった。むかっ腹が立つ。はあと深いため息をついて音稀に訊く。
「なに、それ俺が喜ぶとでも思った? 確かに以前の俺は馬鹿だったけど、今は反省して更生もしてるつもり。馬鹿だった頃の俺じゃなく、今からの俺を見てくれよ」
「ハプバーもどきは要らねえ」というと、間髪を容れずに音稀は「そのハプバー ではなく、僕が用意したのは驚きとスリルたっぷりのパーティーですよ」と訂正する。
どうやらハプニング違いのようだ。俺を責めるための企画じゃねえとすれば、腹を立てたこともウザい感じに喋っちまったことも音稀にすりゃお門違いもいいとこ。俺最悪。
すぐさま「悪い。勘違いして──その、責められると思ってキツく言っちまった。すまん」と謝り、抱きしめる腕に力を入れる。
すると音稀は「気にしてません」と、それから顔をあげると「じゃあ行きましょう」と腕から逃れた。俺の手を取り歩きだす。
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