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第16話
「なあ遥希、そろそろ俺ら真剣 につき合おうぜ」
遥希の身長が百七十六センチに対し龍哉は百八十九センチ、その差は十三センチだ。背後をじゃれるように歩く龍哉が、遥希を見下ろしながら甘えた声で催促する。
「はあ……。もう何度も断ってるでしょう、俺にその気はないって。あなたとの関係は、先輩であり身体だけのつき合いです」
「ちぇえっ。また俺フラれてやんの。つかさ、もっと真面目に考えてくれよ。俺がもう二年もひとりの相手に熱あげてんだぜ? だいたい俺が男相手に尻追っかけるなんてよ、二年まえの自分が知ったらビビるっつの。
ンながっつくとかみっともねえけど、おまえ相手じゃなりふり構ってらんねんだよ。つかこう何度も俺の告白を瞬殺するやつなんて、遥希ぐれえなもんだぞ」
口を尖らせながら恨み言をこぼす龍哉。それには光の速さで遥希が瞬殺する。
「あなたには複数人の彼女がいるでしょう。今は五人でしたっけ? それだけいてまだ飽き足らず、男を恋人にしようだなんて気がしれませんよ」
「あなたは猿ですか?」「搾り取られ過ぎてそのうち干乾びますよ」「子孫を残したければ諦めてください」と絨毯攻撃。
目を見開きショックを受ける龍哉。やや小さな声で返す。
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