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第17話

「おまえ……えげつねえな、しかし。言いたい放題かよ。つか俺の精力は無限だっての、死ぬ直前まで種まき散らしてやらあ。 それからさ、あいつら(彼女)は客だ。ただの恋人ごっこだよ。まあセックスは込みだけどな。いつでも俺の一番は遥希だけだ、俺にとっての本命はおまえだって覚えとけ」  衆人環視など頓着しない龍哉が、抱きつき肩に圧しかかりと遥希にまとわりつき言い切る。  やれやれ言い返すだけ無駄かと遥希は心のなかでため息をつく。 「はいはい。心にとどめておきます」と遥希は曖昧にぼかし、龍哉が「なんだよ。躱してんじゃねえよ」とひとり言のようにつぶやいた。  もう数メートル先には遥希のマンション。やっと面倒な話が終わると、遥希はあくびを噛み殺しながらまた深くため息をつくのだった。

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