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両片想い8
「何でって、恋人の心を傷つけたからだ。オナニーくらいできるだろ? 俺にされてることでも思い出しながら、ここでやってみせてよ」
俺の言ったくだらないワガママは、この人にはきっと通じない。今ごろ頭の中ではそれを論破する方法を、必死になって考えていることだろう。
元教え子で部下の俺を簡単にやり込めてやるという思いが、先生のまなざしにありありと浮かんでいた。
「白鷺課長、早くしないとルームサービスが来ちゃいますよ」
あれこれ考える暇を与えるなんて優しいことを、恋人である俺はしない。
「壮馬、お前……」
焦ったのか、珍しく名前で呼ばれた。
綺麗な形の唇から、俺の名前をもっと呼ばせてみたい。さらに追いつめたら、それが可能だろうか。
「俺が傷ついた分だけ、課長を辱めたいんだ。早くしてみせて、ねぇ――」
下卑た視線で先生を見下ろして、コトに進めるように促してみた。そんな視線をまじまじと受けて、先生の頬はほんのりと赤く染まる。
逃げ場を求めるように右往左往する瞳は、涙ぐんで潤んでいるように俺の目に映った。突然言い出したワガママに、相当困っているのが分かった。
「……せめてベッドで」
「駄目。それじゃあ俺の傷が癒えない」
ぴしゃりと言い放ったら覚悟を決めたのか、縦縞の入った紺色のスラックスのジッパーを、震える右手でやっと下ろしはじめた。
「そんなふうに…じっと見られていると、やりにくい……」
ところどころ掠れた声で、やっと告げる。それくらいこの状況に、羞恥心を感じてしまったのか――それとも……。
「早くしないと、ルームサービスが来るかもよ」
「くっ!」
さらに頬を染めた先生は、渋々それをスラックスの中から取り出す。ひんやりとした場所に出されたモノは、ちょっとだけ大きくなっていた。
「白鷺課長ってば、ここに連れて来られた時点で、かなり興奮していたんだろ。久しぶりに俺ので貫かれるんだと思ったら、感じずにはいられなくて」
「…………」
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