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両片想い9

 スラックスから出すだけ出して、掴んだものを握りしめるだけで終わらせる先生に、追い打ちをかける言葉を即座に考えつき、ところどころを強調させるように口を開く。 「とっととしごいてイカないと、勃起して興奮している白鷺課長のあられもない姿を、ルームサービスを運んできた従業員に、思いっきり見せることになるかもな。もしかして男相手に欲情しているところを、あえて見せつけたいとか思ってるんじゃないの?」  くすくす笑いながら先生の背後に回り込み、背広のボタンを外してやった。真正面で何をしているかを、やって来た相手にはっきりと確認させるように――。 「壮馬、悪かったって謝ってるだろ。もう許してくれ。こんな姿、お前以外に見せたいとは思っていない」  顔だけで振り返って謝罪する言葉を告げられても、あのとき傷ついた俺の心は癒えたりしない。そしてこんな馬鹿げたことをしても、何も変わらないのは事実。 「俺のことを何とも想ってないから、そうやって拒否るんだろ」 「…………」 「俺が女子社員と目の前でイチャイチャしても、白鷺課長の心は傷ついたりしないもんな。きっと涼しそうな顔で、その場を通り過ぎるだろ」 「ふぅ、っ!」  舌先を使って耳の縁を下から上に舐めてみたら、びくりと躰を震わせて変な声を出した。 (先生の弱い部分は、すべて把握済み――次はどこを責めてあげようか) 「手の中のモノ、大きくなってきてる。もっともっと感じないとイケないでしょ、白鷺課長」  背後から先生の手に自分の手を重ねて、ごしごし力強くしごいてやる。 「ん、ふ、あぁ……」  恥じらいを含んだ先生の甘い声に、俺の下半身が反応しはじめる。目の前にあるひきしまったお尻に、ゆっくりとそれを擦りつけた。  お互い布地越しでも分かる。じわじわ上がっていく体温と、相手を欲する気持ちがリンクしていた。 「そぉまっ、もうやめ、ろって」 「完勃ちしといて、今さら何を言ってるんだよ。俺のが欲しくて、ココをこんなに濡らしてるくせに」 「耳元で…ぃうな! 馬鹿っ、あっん!」  先生の躰が大きく震えた。俺が空いてる手で、感じやすい左胸を唐突に弄ったせいだろう。

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