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両片想い12
(思い出すもなにも、忘れられるわけがない。先生への想いが心の中を、こんなにも焦がしているというのに)
室内に口淫する音が、いやらしい感じで響いた。好きな相手に抵抗するようなことは、やっぱりできない。
目を閉じながら積極的に動いて、先生を気持ちよくする。すると前髪を掴んでいた手が頬に添えられ、俺の耳朶に意味なく触れた。
それが妙にくすぐったくて、眉根を寄せながら喘ぐように呼吸をするのがやっとだった。
「ンンっ…もっと舌を絡ませて、強く吸って」
「んあっ、んっんっぅっ、鉄平ぇ好きっ」
「壮馬……、あぁあっ、俺にっ、こんなことができるのは、お前だ、けっ」
告げられた先生の言葉を、そのまま信じたい。
そしてこんな言葉よりも、すごく欲しいものがある。それを引き出すために、俺は必死になって頭を動かした。
「俺だけっ、ぉ、れだけ……」
自分のすべてを使って、目の前にいる好きな人をとことん感じさせたい――。
「ふぅう…っ、んぁっ、もうイクっ!」
先生の両手が俺の顔を掴んで、腰を前後に激しく動かしたそのときだった。
キンコーン♪。.:*・゜
品のある呼び出し音が部屋の中に響き渡った瞬間、躰をビクつかせた先生が、俺の口から慌てて自身を引き抜いた。
引っこ抜いた勢いをそのままに俺の顔に向かって、思いっきり白濁がぶちまけられる。
「おまっ、ルームサービスは頼んでないって言ったろ」
「んっ……。それが嘘だとしたら?」
粘り気のある白濁が、頬からゆっくりと流れ落ちてきた。それを舌先で、美味しそうに舐めとってみせる。
ふたたび呼び出し音が鳴る中、先生は舌打ちしながらあられもない姿でバスルームに消えた。
怒り狂うその背中を見送りつつ立ち上がり、気だるげに扉の前に向かう。
「すみません。シャワーを浴びたばかりですので、そのまま廊下に置いていただけますか」
口を動かすたびに先生の放出したモノが流れてきて、雄の匂いと一緒に唇の上にその存在を悟らせる。自分が感じさせた証を直に感じることができて、微笑まずにはいられなかった。
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
扉のむこう側から聞こえてきた声の数秒後に開錠し、頼んでいたシャンパンと軽食を手にしてから、室内に戻る。
バスルームからシャワーの音が聞こえてきた。
先生は今どんな気持ちで、それを浴びているのだろうか。
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