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抗うことのできない恋ならば、いっそこの手で壊してしまえばいい52
ローランドが逃げる間もなくアーサー卿は両手首を掴み、素早く後ろに回した。
「な、なにをっ!?」
背後から聞こえるのは、なにかの金属音のみ。手首の皮膚の上に、冷たいものが嵌められるのが分かった。
「君が素直になるように、手枷をつけさせてもらった」
「いつの間に、そんなものを……」
「それと、これは没収させてもらうよ」
耳元で囁いたアーサー卿の声と一緒に、ふわっとした吐息が混じり、変な声が出そうになる。それをやり過ごすべく躰を強張らせていると、ネクタイピンを外されてしまった。
「やれやれ。こんなものを使って、俺たちが愛し合う逢瀬を、録音しようなんて考えるとは。こんな間の抜けた入れ知恵したのは、執事殿だろうか」
「それは――」
「以前、同じことをされた経験があったからね。まったく同じ物を使ってくれたおかげで、気づくことができたよ」
(国王様に、アーサー卿の悪事を告発できるチャンスだったのに!)
「悔しがる顔よりも、快感に身をゆだねてイク顔を俺に見せてほしいな」
なぜかアーサー卿はローランドの後ろに移動し、胸元にあるワイシャツのボタンを外しはじめた。
「朱い髪に、ダークブルーのスーツがよく似合ってる。見てるだけでそそられる」
ワイシャツの隙間から差し込まれる、アーサー卿の手のひらを胸元に感じて、肌がぶわっと粟立つ。
「おやめください。こんなことをしてる時間はありません!」
「ああ、いい忘れていた。集いの司会をする俺の都合で、2時間ほど時間を遅らせたんだよ」
「なっ!?」
「あの屋敷にはいろんなものがあるから、先に集まった貴族たちはビリヤードやチェスなんかに興じながら、楽しんで時間を潰しているだろうね」
胸元の手のひらが狙いをすましたかのように、左胸の頂に到達した。アーサー卿の人差し指が、ローランドを感じさせるように細やかに動く。
「っぐ、う」
喘ぎ声を押し殺そうと、下唇を強く噛みしめるローランドを見て、胸元に触れていない手が、ジャケットのボタンを外していく。
「君がいつまでそうやって我慢し続けていられるか、俺としては楽しくて仕方がない。こことココも、こんなに硬くなっているというのにね」
ジャケットのボタンを外した手が、一瞬だけローランド自身に触れた。
「んあっ……」
直接触れられたわけじゃないのに、躰の中心に電撃が落ちたような快感が走り抜ける。強く噛みしめていたはずの唇から、荒い吐息が繰り返された。
「この間の夜のように、時間がたっぷりあるわけじゃないからね。感じやすい君を、短時間でどうやって料理しようか」
胸を弄っていた、アーサー卿の手があっさり引き下がる。両手を使ってローランドのベルトを手際よく外し、下着と一緒にスラックスがあっけなく下ろされた。
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