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抗うことのできない恋ならば、いっそこの手で壊してしまえばいい63

「はっ、あぁっ…いやだっ」  変わらず抵抗する両腕を無理やり押さえつけてから、ローランドの唇を解放した。 「ベニー、なにをするんだ?」 「痛みを忘れさせる快感を、貴方様に与えようと思いました」 「そんなもの必要ない。今すぐ放せ!」 「嫌です」 「僕の命令を無視するのか」  睨みつけながら怒鳴るローランドに、ベニーは眩しいものを見るような目つきで瞳を細めながら、いつもより低い声で答える。 「好きでもない伯爵に抱かれて、いつもまにか愛してしまったというのなら、同じことをしたくなります」 「やめろっ! 男娼出身のおまえに抱かれたら、僕は――」 「私に抱かれて、穢れてしまうのが怖いですか?」 「違う、そうじゃない。おまえは誰よりも快楽の方法を知ってるだろ。それに堕とされるのが怖いのと、アーサー卿以外の男に抱かれるのが嫌なんだ」 「…………」 「放せっ!」  両腕を掴んでいた、ベニーの手の力が緩められる。それに安心して、ほっとため息をついたローランドは起き上がろうとしたが、腰の横にあった両手が大きな手によって握りしめられ、ベッドに縫いつけられた。 「ンンっ!」  唐突に押しつけられた唇によって、起き上がりかけた躰が、すぐさまベッドに戻される。激しく出し挿れされるベニーの舌に、ゾワッとしたものを感じた。  目に映るベニーの顔は、いつもの見慣れたものではなかった。肩まで伸ばした長い髪を乱しながら、狙いすました野獣のような目で、ローランドを見つめる。 「ひっ…んあっ、くぅっ」  大きくなったベニーのモノがローランドの下半身に何度も当たり、その衝撃のせいで感じてしまった。 「ん、ふ、あぁ……」 「昨夜は一晩中、伯爵にイカされたのでないですか?」 「い、言うなっ」 「好きでもない男に感じさせられて、恥ずかしいのでしょ? 頬が赤く染まってます」 「それ以上なにも言うな、腰も動かすなっ!」  ベニーの腰にローランドは両足をぎゅっと巻きつけて、強制的に動きを止めた。 「そんなふうに押しつけられたら、伝わってくるじゃないですか。熱くて硬くなってる、ローランド様の大きくなった――」 「もうやめてくれ……」  ベニーから顔を背けたローランドは、巻きつけていた足をもとに戻し、抵抗することを諦めた。力なく横たわる主を目の前にして、ベニーは暗く沈んだ声で語りかける。

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