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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい2
痛めた脇腹を抱えながら見知らぬ外国人に頭を下げると、いきなり頭頂部の髪の毛を摘まれる感覚があった。
「この朱い髪……」
何をされるかわからないので、とりあえず頭を下げたまま、上目遣いで恐るおそる説明してみる。
「これは生まれつきで、染めたものじゃないんです。そのせいで目立つ人に因縁をつけられたりするので、黒く染めようとも思ったんですが、肌が弱くて、それもできなくて」
「そうか」
視線の先にある端正な面持ちの男性は、少しだけ眉根を寄せながら、髪を摘んだ手を元に戻したので、安心して頭をあげた。
「貴方の黒髪が羨ましいです」
「そうかな。外人の象徴といえば、金髪だと思うけどさ」
細長い指で黒髪を梳きながら告げる言葉に、ちょっとだけ笑ってみせた。
「そうですね。ですが青い瞳に黒髪は、新鮮な感じがします」
「にしてもだ、君はこうしていじめられていることを、担任や親は知っているのか?」
腰に両手を当てて告げられたセリフは、僕としては大変答えにくいものだった。
「担任には相談したのですが、僕の態度が悪いからだと言われてしまって、取りあってくれないです。親も同じ感じで……」
「態度が悪いって、何かしたわけじゃないだろ?」
「そうなんですけど」
「狂った学校だな。こりゃ前途多難とみた」
透き通った青い瞳を気難しそうに細める姿を、何の気なしにじっと眺めた。すると僕の視線に気がつき、口の端を綺麗にあげて笑いかけられる。
妙な色気が漂ってくるそれに、胸がドキッとした。
「先輩、こんなところにいた。何をして――」
「ベニーちゃん、やっと来たか。遅かったな!」
僕から視線を外し、後ろを振り返った男性の視線の先には、別の外国人男性がいた。
「わっ……」
傍にいる男性よりも一回りくらい線の細いその外国人は、サラサラの長い白金髪を鮮やかな色合いの赤い紐を使って、後頭部の真ん中あたりに結っていた。こちらに近づくにつれてわかる、光輝きながら揺らめく髪の毛の一本一本のしなやかさに、思わず目を奪われる。
「そちらにいる生徒は、先輩の知り合いですか?」
「いいや、違う。今さっき知り合ったところ。3人の生徒に、寄ってたかっていじめられていたんだ」
「いじめですか、酷いですね。君、怪我はしていませんか?」
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