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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい11

「目の前で暴力はあったし、立ち聞きした話の内容からの想像だけど多分、性的なことも強要されてると思う」 「そうですか。明堂くん可哀想に……」  ベニーは出逢ったばかりの明堂の姿を、目をつぶって思い出す。痛んだ脇腹を押さえて気を遣い、自分に微笑みかける顔と、心底愛したローランドの顔がダブってしまった。魂が同じだけで、顔立ちはまったくの別人だというのに、一目見ただけで心臓が揺さぶられた感覚が不思議でならない。 「ホント可哀想だよな。前世のカルマとはいえ、教師だけじゃなく親にも見放されて孤立無援らしい。いいタイミングで、ここにやって来たんじゃないか?」 「私としては、問題が起こる前に到着したかったです」  大きく目を見開き、少しだけ唇を尖らせたというのに、ローランドは肩を竦めながら嘲笑う。 「相変わらず手厳しいな。結果オーライだろ」 「どのような状況であれ、彼の支えになります。そのために来たのですから」  必ずやり遂げてみせるという、強い気持ちを込めながら前を見据えると、真剣みを帯びたローランドのまなざしとぶつかった。さきほどまでと違う面持ちを目の当たりにして、眉根を寄せてしまった。 「ベニーち……、いやロレザス」 「なんでしょうか」 「言い慣れてるちゃんづけで呼ばないのは、やっぱ変な感じがすると思ってさ。ロレザス呼びにするわ」  とても小さなため息をついてから、視線を逸らしたローランドの態度に、なぜだか苛立ちを覚える。 「最初からそうしていれば、無駄な争いをしなくて済んだというのに」 「そうやって文句を言うってことは、やっぱり寂しいんだろ?」 「別に。そんなんじゃないです」 「わかったわかった。ベニーって呼ぶことにする」  文句を言っても言わなくても、結局ローランドの思惑に上手く丸め込まれてしまうことに、いささか不満が残ったベニーだった。

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