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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい12
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自分が心底愛した主が転生したのは、日本の高校生だった。自殺を図ったときのベニーは日本人だったので、現代社会における常識や日本語、高校のシステムなど困ることはほとんどなかった。
黒ずくめの男で見守り人のローランド自身も、転生前は韓国人で通訳の仕事をしていたこともあり、すんなりと環境に馴染んでいた。
明堂が在籍している高校に赴任して、早くも1週間が経った。けがや病気の多い小学生とは違い、高校の保健医としての仕事があまりないだろうと思っていたのに、その考えは大きく外れた。
気がつけば四六時中、いろんな理由をつけて保健室に生徒が訪れる。そのせいで休む暇がない状態。どうにか隙を見て明堂のクラスに顔を出したいと思っても、まったく時間をつくることすら叶わなかった。
「ロレザス先生が手当してくれたおかげで、すぐに血が止まりました」
「そうですか、それはよかったですね」
目の前でニッコリ微笑む生徒に、ベニーは気のない返事をする。
体育の授業中に、肘を擦りむいた生徒の治療をしていた。自分よりも体格のいい生徒を前に、差し出された腕をきちんと診る。
「大きな傷でしたが、皮膚の表面が軽く擦れただけだったので、すぐに出血が止まったんでしょう。傷を覆う大型の絆創膏を用意しますので、少しだけ待っていてください」
腰掛けていた椅子から立ち上がり、生徒に背を向けた瞬間だった。
「なっ!?」
太い腕がいきなり首に巻きつき、容赦なく締めあげる。柔道の締め技に近いそれを何とかすべく、絡みついた腕を捻りながら、相手の踵を力強く踏みつけた。前世に刑事という仕事をしていた知識が躰に染みついていたため、すぐに反応できたと思われる。
「うぐっ……」
一瞬だけ腕の力が緩んだのを見極めつつ、顎に目がけてジャンプする。
「があぁっ!」
頭に感じた顎への衝撃は、相当なものだった。ベニーの頭も、かなりの痛みを感じた。
さきほどまで治療を施していた生徒は、痛そうに顔を歪めながら、顎を押さえてしゃがみ込む。ベニーはジャージの襟を掴んで、無理やり顔を上げさせた。
「どういうつもりですか?」
「ごっ、ごめんにゃしゃぃ」
「私を襲ったのは、君の考えですか? それとも、誰かに頼まれたのでしょうか?」
「そ、それは……」
「君が先に手を出したということで、私からの攻撃はすべて正当防衛になります。まだ痛い目に遭いたいですか?」
「嫌、ですぅ。ちゃんと喋りますから、これ以上は勘弁してください」
涙目で訴えた生徒を信用して離した瞬間、大きな手がいきなり目の前に迫り、あっという間に視界を奪う。その勢いのまま、床に押し倒されてしまった。
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