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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい28
***
明堂はいつも通りに学校から帰り、リビングに顔を出すことなく、そのまま二階にある自室に引きこもった。
両親は揃って仕事で不在、兄の伊月は生徒会の業務の関連で自分よりも帰宅が遅いため、この時間は思いきり息が抜けるひとときだった。
(憧れのベニー先生と、何回もキスしちゃった――)
とめどなく溢れる涙を止めるために、添えていた手を使って顔を引き寄せ、思う存分に触れるだけのキスしていたら。
「弘泰っ、もっと……」
キスの合間に囁かれた言葉で、ベニーの躰をベッドに押し倒し、唇の隙間から自分の舌を割り入れた。指先に感じた肉厚の舌を、今度は自身の舌で堪能する。
「ンンっ」
苦しそうな声を聞いて顔をあげたら、涙目で明堂を見つめるベニーと目が合った。
絹糸のような金髪を枕に散らして息を切らすその姿は、自分のしでかしたことで乱れているのを実感させられた。
(ベニー先生、すごく色っぽい……)
「大人の私をこんなにするなんて、悪い生徒ですね。今度は君の番ですよ」
「僕の番?」
「君の感じてるところを見せて……」
両腕を伸ばしたベニーは、明堂にぎゅっと抱きついて横回転し、そのまま素早くベッドに磔にした。寝乱れたせいで束ねている髪が一部外れかけた状態で、顔の半分を覆う。
「ベニー先生、綺麗」
「君に褒められるのは嬉しいことですが、私としては邪魔で仕方ないのです」
上半身を起こしながら赤い紐を外して、解けた髪をきちんと結い直す。
「弘泰のいろんな顔を見せてください。君の声もたくさん聞きたい」
そう言ってベニーは明堂のきちんと結ばれたネクタイを手際よく解き、シャツのボタンを三つほど外して、首元に顔を埋めた。肌に触れる唇と舌が明堂に与える衝撃は、今まで感じたことのないほどゾクゾクさせるもので、恥ずかしながらもたくさんいやらしい声をあげてしまった。
(最後までしなかったのに、何度もイきそうになっちゃった……)
ベニーとのひとときを思い出しただけで、躰がじんと熱くなる。いそいそとベッドに移動し、ヌかなければと思った矢先だった。背後から音もなく伸ばされた腕が、明堂の口元を覆った。
「うっ!」
「おまえ、三時間目に保健室に行ってたらしいな」
突然現れた兄の伊月からなされたセリフは、心に冷水を浴びせるものだった。保健室へ行くなと、事前にきつく命令されていたから。
大きな手で口を塞がれている時点で、反論することが無理な上に、兄の反対の手が明堂の下半身に伸ばされていて、誤魔化すことが余計にできない。
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