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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい29

「ココをこんなにさせる何かを、あの外人としたのか?」  制服のスラックスの上から握りしめられるそれは、気持ちよさよりも痛みしか感じなかった。あまりの不快感に、顔を歪ませながら肩を竦める。 「んっ、ううっ」 「淫らなおまえのことだ、どうせ自分から誘惑したんだろ。いつものように腰を振りまくって」  首の後ろに、兄の唇が押し当てられた。なぞるように動くその感触と吹きかかる息が、とても嫌な感じにしか思えない。両目をぎゅっとつぶって、その感覚をやり過ごすことに必死になる。 (ベニー先生にされたのとは全然違う。いつもよりそれを苦痛に感じるなんて、本当につらすぎる) 『弘泰、俺の出番だろ。とっとと代われ』  頭の中で、聞き慣れた声がした。迷うことなく意識を手放すと、真っ暗闇の中に堕ちていく。何も聞こえない、感じることのない世界はとても楽だった。  弘泰と交代した者は、口を塞いでいる兄の手を力任せに外し、躰を震わせながらわざとらしく抵抗してみせる。 「あぁっ兄さんっ、もうやめて……」 「やめてと口では言ってるのに、どうして腰を微妙に動かしてるんだ?」 「それは兄さんの手で、もっと気持ちよくなりたいから、です……」  下半身に触れる兄の手の上に、自分の手をあてがった。蠢く手の動きが、より一層強くなる。 「随分と素直なんだな。保健室で何があった?」 「は…ぁっ……す、好きだと告白されて、キスされただけです。躰は許してません。だってこれは、兄さんのものでしょう?」  感じている顔を見せるために振り返り、空いている兄の手を胸元に導いた。ワイシャツの上から頂に触れる指先は、正直気持ちのいいものではなかったが、感じているフリを続行する。 「あぁっ……っは…ぁ、いいっ」 「わかってるじゃないか。だったら自分で服を脱いで、いつものように奉仕すれよ」 「はい、兄さん……」  着ていた制服と下着を脱ぎ捨てて床に跪き、立ち竦む兄のスラックスのジッパーを下ろす。中から大きな自身を取り出し、そのまま口に含んだ。 「ンンっ、あっ、んうっ」  唾液を纏わせながら甘い声をあげて、兄を満足させるために口淫を続ける。こうして弘泰の代わりを勤めるのが、彼の仕事だった。

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