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抗うことのできない恋だから、どうか一緒に堕ちてほしい67
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自宅に帰宅し家の鍵をかけた瞬間、後ろから強く抱きしめられた感覚だけで、どうにかなってしまいそうだった。伝わってくる体温や息づかい、そして尻に当たる雄の印など、他にもたくさん興奮させる材料があって――。
「ベニー……」
持っていたカバンを力なく手放す。玄関のタイルに当たり、教科書や参考書が入ったカバンから、重たい音がした。それがまるで自分の理性を崩すきっかけのように、聞こえずにはいられない。
「弘泰、やっと貴方を捕まえました」
耳障りのいい声は、はじめて逢ったときから聞き覚えのあるものだった。今はその声ですら、興奮する材料になる。
「ベニー、僕は貴方を愛していいの?」
そんな問いかけをしたというのに、前世の出来事から現在進行形で不安を抱えたままだったけど、彼を愛したくてたまらない。
「僕はこんなにもちっぽけで……。情けないくらいに弱い存在なのに、ベニーを愛していたいんです」
マモルのいない現状は、これからどんなことがあっても逃げずに対処しなければならない。逃げてばかりいた弱い自分は、とんでもない醜態を晒すかもしれないけれど――。
「私はそれを望みます。それに君はちっぽけな存在ではありません。私の心のすべてを支配する、大きな存在なのですよ」
いともたやすく僕の躰を横抱きにしてくれたので、両足を使って靴を乱雑に脱ぎ捨てた。すると自分の靴を脱ぐなり、僕のと一緒にタイルの上に並べる。
来たときに放り出したカバンを手にしてくれたので、慌てて頭を下げた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。弘泰の部屋はどちらですか?」
「2階です、そこの階段を」
「わかりました。しっかり私に捕まっていてください」
ふたり分の体重で、階段を踏みしめる音がいつもより大きく鳴る。それを耳にしただけで、心臓が高鳴っていった。
「あ、階段傍の扉の部屋が」
顔を上げて教えると、頬にキスを落とされた。
「うっ!」
(さっきから刺激的なことの連続で、躰が火照ってどうにかなってしまいそうだよ……)
「熟れたリンゴのように、真っ赤になってます。今すぐ食べたくなってしまいます」
クスクス笑いながら階段を上り終え、僕の部屋の扉を開けてくれる。
「寝坊して慌ただしく部屋を出たから、あまりじっと見ないでください」
飛び起きたせいで乱れたままの布団や、勉強机はノートが出しっぱなしになっていた。
「カバンはここに置きますね」
椅子に添わせるように静かにカバンを置いてから、僕の躰をベッドに優しく横たえさせた。
「ご自分で服を脱ぎますか? それとも私に脱がされたいでしょうか?」
目の前で手際良くネクタイを解き、次々と服を脱いでいくベニーを見、ブレザーを脱ごうと慌ててボタンに手をかけた。
「ベニーの手を煩わせたくないので、自分で――」
「脱がないでください」
「えっ?」
「昔のように私が一枚ずつ、丁寧に脱がせてさしあげたいのです」
全裸になったベニーが音もなく近づき、僕の返事を奪うキスをした。
「ンンっ、あっ」
「丁寧に……と、思ったのですが――」
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