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抗えない想いを胸に秘めたまま、おまえの傍にずっといたい7

☆*°☆*°☆*°  傍に感じる人肌の温もりで、重たいまぶたをなんとか開けることができた。表現しがたい疲労感で伏せをしたまま、立ち上がることができない。 「やっと起きた。ノロマなヤツだなぁ。だから捨てられるんだよ」  目の前にいる白と黒の毛並みを持った子猫が、金色に光り輝く瞳を細めながら、呆れた声で俺に話しかけた。 「捨て……られた?」  そう声に出しながら、自身の身体をあちこち見てみる。長いしっぽと細い手足のすべてが、真っ黒な毛並みに覆われていた。 「白黒ブチの俺と黒猫のおまえは、貰い手がいなかったせいで、母さんから引き離されて、飼い主からぽいされたんだ」 「俺たち以外は、誰かに貰われたんだ?」 「俺は貰われるように、可愛く鳴いてみせたり、それなりの努力をしたんだぜ。おまえなんて母さんの乳を飲んでるか、寝ることしかしてなかったからな。貰われなくて当然だろ!」  白黒ブチの子猫は、俺の躰を後ろ足で蹴りあげる。逃げようにも狭い箱の中ではそれができず、蹴られ続けたのだが。 「痛ぇんだよ、ふざけんな!」  俺は重たい身体に鞭を打ち、忌々しげに蹴ってくる後ろ足を思いきり噛んでやった。体格差はそれほどなかったので、躊躇なくやられた分だけやり返した。噛みながら両手を使って、パンチを繰り出してやる。 「ギャー、いたいいたい!」 「口ほどにもない奴だな。あ~腹減った」  白黒ブチの子猫が縮こまったので口から解放し、改めて狭い箱の中を隅々まで眺めてみる。飼い主は空っぽの空き箱に、貰い手のいなかった俺たちを捨てたようだ。 (まるで、誰かの人生を見ているみたいな感覚。誰だったのか思い出せないのが、すげぇつまらないな)  脳裏に見える薄っすらとした記憶――紙袋に入れられた赤ん坊を見下ろす映像が一瞬だけ鮮明に映し出されたが、すぐに消え失せてしまった。 「つまらないことを考えてもしょうがない。まずは腹ごしらえしないと」  頭を振って白黒ブチの子猫を踏みつけ足場にし、箱の縁に手をかけてから、ひょいと飛び降りた。 「あっ、おまえズルいぞ!」 「俺は誰かに媚びたりするのが苦手だからな。せいぜい可愛い声で鳴いて、飼い主を捜せば」  他にもかけられる文句を聞かないようにすべく、目に留まった道を駆け出したときだった。頭上をなにかが素早く掠めていく。背中を丸めて立ち止まると、ソイツが前を立ち塞いだ。

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