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シェイクのリズムに恋の音色を奏でて27

「俺の気持ちを知ってるクセに、どうしてそんなことが言えるんだよ……」  呆然と部屋の中央で立ち尽くす俺の傍に、聖哉はどこからか持ってきた布団セットを静かに置く。 「シャワー浴びますよね? これ着替えです。多分サイズは大丈――」  手に持つ着替えを見ながら俺に説明しかけた聖哉の腕をグイッと引き、抱き締めながらしゃがみ込む。  足元に乱雑に散らばった着替えをそのままに、布団セットの上に聖哉の上半身をのせるなり、逃がさない勢いで唇を押しつけた。 「!!」  聖哉の両腕ごと体を抱きしめているので、ムダに抵抗はできないだろう。それでも聖哉は首を大きく横に動かし、押しつける俺の唇を強引に外した。 「いっ、石崎さ……なにをっ」 「こんなことされたら、抑えている気持ちが溢れるに決まってるだろ」 「こんなことって、僕は当然のことをしたまでです」  俺だけじゃなく、誰にでも親切にする聖哉の気持ちが嫌になる。今では店の常連から、親しげに声をかけられるくらいの存在になっていた。 「おまえにその気がないのはわかってる。だからこそ、少しでも俺の気持ちを伝えたい。恋愛感情で聖哉が好きなんだ」 「石崎さん……」  絹糸のように細くて長い前髪の隙間から、大きな瞳が俺を見上げる。困惑を滲ませたそれを見てるのに、好きだという想いをとめることが、どうしてもできなかった。  ふたたびキスして、間髪おかずに舌を挿入する。上顎をなぞるように前後に滑らせたら、甘い吐息が漏れ出た。 「ンンっ」 (とまらない、とめられない……)  本来ならこんなことをしようなんて、ここに来るまで思ってもいなかった。  時間をかけて、少しずつ距離を縮めながら仲良くなって、恋愛感情で好きになってもらえるようにしようと考えていたのに。  時折見せる色っぽい顔つきや、今回のようにとことん優しくされたら、もどかしさも手伝って聖哉が欲しくて堪らなくなる。 「あっ……んっ、ぁあ」  肉厚の舌を吸いながら絡めつつ、自身の舌をやんわりと出し挿れする。卑猥な水音が室内に響き渡り、聖哉と官能的なキスをしていることを耳で捉えた。 「聖哉に、すげぇ感じさせられてる」  言いながら抱きしめる腕の力を抜き、聖哉の片手を掴んで目の前に掲げた。そして人差し指の爪先に口づける。  俺の店でピアノを奏でる大事な指――聖哉の商売道具になるそれを愛おしく思った。  嫌がるかと思ったのに、聖哉はトロンとした面持ちのまま、俺の顔をじっと見つめる。 「聖哉が俺のキスを受けてくれたから、こんなになってる」  もう一度爪先にキスを落としてから、聖哉の腕を俺の下半身にゆっくり導き、てのひらをそこにぎゅっと押し当ててやる。 「つっ!」 「聖哉が感じさせたんだ、俺を」 「僕はなにも――」  頬を赤く染めながら首をふるふる横に振っても、押し当てられているモノの硬さを聖哉の手がまざまざと感じ取っているだろう。

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