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第9話

ピチャピチャと音がして、胸に快感が走り、俺は気が付いた。 俺は一二三のベッドの上に裸で寝ていた。 そして覆い被さる一二三は俺の乳首を舐めている。 音と快感はそのせいだった。 「……ひふみぃ」 「ん、起きた?独歩の乳首美味し……」 一二三はオレに妖艶な笑顔を見せた。 「独歩のチンコはダメだったけど、乳首は勃起ったよ。見て……?スゴく可愛い」 「あぁっ……ン、ぁ」 彼は親指の平で、乳首を捏ねたら電流のような快感が襲ってきて、これからあられもない声が漏れた。 「身体は素直だね。オレ独歩の身体好きだよ、スベスベで綺麗。お臍も可愛いし」 「あっあっあーー」 臍を舐められて俺は軽く中でイった。 どうか気付かれませんように、と願ってもどうせ一二三は見抜いてる。 面白そうにクスクスと笑っている彼が何よりの証拠だ。 「……独歩、せっかくのエッチなんだし。アナルに挿入れていい?」 「いい、……ぃれてくれ」 俺は両足を持って一二三がペニスを挿入れやすい体制を取った。 すると一二三は生唾を飲んだのが分かった。 「……スゴい良い眺め。ハメ撮りしちゃおう」 ハメ撮りでもなんでもしてくれ、ベッドサイドにあったらしいスマホを取ると、彼はこんな格好の俺をパシャリと取った。 こんなオッサンをハメ撮りしてもなんのオカズにもならない。 どうせ俺なんて俺なんて……俺なんて。 俺は一二三のオカズにもならない。 「ひふみぃ、……はらがうずく」 「うん、挿入れるから。ゴム付けるし待ってよ」 「そのままで……いい。はやくいれてくれ」 俺は腰を浮かした。 「ハイハイ、オレは独歩大好きだからね。美味しくいただきます」 メリメリと俺のアナルに一二三のペニスが挿入ってくる。 幾度となく一二三を受け入れた俺の身体は、もう快感しか感じなくて、イったばかりなのにまた俺はイった。 「ああぁぁあぁあっ!!」 「どっぽちん二回目のドライ。……お尻でイくの上手になったね」 俺を見下ろす彼の表情は艶っぽい。 どうかこの彼の表情を知っているのは俺だけでありますように。 「独歩、動くね」 「まって……くれっ、イったばかりでぇ」 「っダメ。オレ一回もイってないし?……独歩だけってズルい!!」 冷たい温度の部屋の中、汗だくになりながらの『好きな相手』とのセックス。 本当は慰めなんてただの口実、一二三。 俺はお前が好きなんだ。 激しい腰使いには全然慣れることは出来ない。 とてつもない快感に溺れる俺は、一二三にしがみつくのが精一杯の出来ること。 「あっああぁっ、ひふみひふみぃ。こゎれるぅっ……イっちゃう、だめだっ!!」 「っいーよ、……俺もイくから」 俺の腹がドクリと脈打ち、とんでもないくらいの快感が襲ってきた。 と、同時に俺の中に彼の熱いものが注がれた。 ……意識が遠退いていく。 その中で一二三の声を聞いた。 「独歩……、好きだよ。愛してるから」 俺の身体が冷たくなっていく。 愛してるなら、なんで身体が冷たくなっていくんだ。 俺が起きるまで隣に居てくれ、一二三……。

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