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第10話
「どっぽちん、いつまで寝てんだよ?オレっちもう仕事だよ」
気付いて見ると、俺は自分のベッドでパジャマを着て寝ていた。
「……俺は疲れてるんだよ」
「ハイハイ、それは朝聞いた。どっぽ、帰ってきてからのごとし覚えてる?」
「確か……必死にエントランスまで帰ってきたの覚えてる」
すると一二三は安堵した表情になり、それから呆れたようにこう言った。
「大変だったんだからな。オレっちの背中でどっぽちん吐いちゃうし、風呂にいれてベッドに入れてあげたんだ。少しは感謝しろよぉ?」
「……すまない」
嘘だろ一二三。
他にもあったはずだ。
でも一二三は言わない。
肝心なこと、一二三は言わない。
「メシは冷蔵庫、チンしてちゃんと食べろよ。どっぽ、記憶無くすまで接待で飲むとか、寂雷先生とあんまり変わんないぞ?」
「俺は酒乱じゃない」
「じゃあオレっちはお仕事!!どっぽちん、いってきまーす」
ドアが閉まり鍵が掛かる音がした。
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