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第35話
「ううぅぅぅ、怠い。消えたい消えたい消えたい……」
その日の明け方、独歩は自身のベッドの上で唸った。
まるで三徹したあとの彼のようだった。
「どっぽちんメンゴ!!」
そりゃ襲われた後に、またオレとの激しいエッチをしたんだからダルいに違いない。
オレは独歩に両手を手を合わせて謝った。
「マジで消えたいぞ、一二三」
「それは勘弁!!どっぽが消えたらオレっちが生きていけないぃ」
「いや……それは冗談で。先生との約束と仕事があるから消えないが」
オレはシャワーを浴びてサッパリ、部屋着を着て独歩の隣に寝転んだ。
独歩は『触るな』と言うから、全裸のままベッドの中だ。
「……本当はどっぽ、『悪酔いした夜のこと』覚えてたんだよね」
「オレは駄目な奴だから、お前から逃げたんだ」
「なんで抵抗しなかった?」
「一二三が、辛そうだから」
やっぱり独歩は優しい。
出会った頃とちっとも変わってない。
だからオレみたいな悪い男に利用されて、社畜にもなる。
「あと……、多分俺には一二三が居ないと駄目らしい」
「えっ?!」
こんな可愛いこと、シラフの独歩がどういう顔をして言ってるのか気になって覗いてみたら、予想に反して照れてなく、真面目な顔だった。
「一二三、お前は真面目にならなくて良いから」
「えぇえっ?!なんで、どっぽちん!!」
「……そのほうが好きなんだ」
「ああぁ、オレっち愛されてない?!」
独歩。
独歩。
愛しい独歩。
完全にオレの独歩だと胸を張って言えない関係だけど、それはそれでも良いと思った。
続く
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