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第10話

 指が六割がた門をくぐれば、襞がめりめりと裂けていくような心地がいたします。秘筒が独りでに狭まって、指を押し戻すのです。  はねつけられて、朋貴さまは業を煮やされたのでしょう。指が強引に分け入ります。 「んっ、ぁあ……!」  不甲斐ないことに、たわいなく悲鳴をあげてしまいました。すると、すかさず唇が唇に重なり、旦那さまはくちづけでたしなめてくださるのです。  下唇をやんわりと咬まれましたあとで、結び目が舌で解きほぐされます。豊潤な口腔にいざなわれました舌に軽く舌が立てられますと、旦那さまの優しさが心にしみます。 「案ずることはない。わたしを信じて、心安らかに朋貴に任せておけば、頑なな花も必ずや咲き匂うであろう」  慈しみに満ちた眼差しが向けられます。唇が頬をついばみながら上にずれていき、一滴、二滴と睫毛を濡らした涙を吸い取ってくださいます。  反省しきりです。痛い、怖いなどと未通女(おぼこ)いことを申しあげて旦那さまの興を()ぎますようでは、駄々っ子と大差がありません。  調教次第で駄馬も名馬に生まれ変わるものです。それと同じことです。ゆくゆくは二本挿し、三本挿しにお応えできるまでに〝(ほと)〟を拡張していただく。  それも、お側仕えの修行のひとつです。 「……ん、ん」  背中に腕が回され、上体をよじる形に抱き寄せられます。襞がねじれ、張り形がななめ下から押し入ってまいりますと、呻き声が触れ合わさった唇のあわいをたゆたいます。  ひりり、と淫肉の輪が疼きます。それでいて、ためらいがちにですが旦那さまにしなだれかかり、あたたかな胸に抱きくるまれますと、痛みはたちまちのうちに薄れていくのです。 「こらこら、人目もはばからずに兄さまに甘えてみせるとは、いい度胸じゃないか。分をわきまえて、少しは慎みたまえよ」  耳たぶに、かじりつかれました。頭を振り向けた先に、にやにやなさっておられるお顔を見いだして頬が紅潮します。  きまり悪さに、ゆるゆるともがきます。ところが旦那さまは、かえって腕に力を込めてまいります。さらには尻たぶを左右に割り広げて、盛んに張り形をぱくついておりますケツ(めど)を、ひと思いに明かりのもとにさらけ出しておしまいになるのです。  ああ、熱っぽい視線が右と左の双方向から、皺ひとつなく拡がりきった菊座にそそがれます。視姦という恩寵にあずかりますと、穂先がなおさら泣きじゃくり、蜜の道をふさぐが濡れそぼつのです。  なんという強欲な躰なのでしょう。  朋貴さまは……といえば、興味が乳首へと移ったご様子。襯衣(シャツ)の中に手をすべり込ませてこられて(くだん)の留め具をひねり、ぺちゃんこになりますほどにひしがれました乳首を揉みつぶし、つねり立てて、緊張がほぐれるように気づかってくださいます。  もっとも胸の粒を愛でていただきますと、内壁がいちだんと張り形にじゃれつく始末です。おかげで、甘美な責め苦にのたうつことになるのです……。

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