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第12話
ぬぷぬぷ、くちゅくちゅと股ぐらは、たいそうにぎやかです。甘だるいものが下腹部にわだかまって、噴出する機会を窺っています。
奔流がおなかの中で暴れ狂い……ああ、トドメを刺していただかないことには遠からぬうちに悶え死にいたします。
視界がぼやけて、微笑んでおられます旦那さまが二重、三重にダブって見えます。
元はといえば馬に怖じたあげく、鞍から振り落とされてしまう自分に非があるのです。
乗馬の特訓というにはむごいなさりよう、と旦那さまを怨ずるなど、お門違いもはなはだしいことです。ですのに悠然と乳首をこね回す旦那さまが、恨めしく思えてきます。
「どうだ、感想は。しずはの内側は天鷺絨 のごとく程よくぬめって、素晴らしいだろう」
「掛け値なしに類い稀な名器だね。〝ここ〟の味見がしたがるファロスをなだめるのに苦労するよ」
と、応じる声は、かすれがちです。ふと、紬の前に視線が吸い寄せられます。やはり年若でいらっしゃるぶん、抑えが利かないのでしょうか。
下帯に押さえつけられているはずですのに兵児帯 の真下あたりが、むくむくと膨らんでいき、もっこりと盛り上がります。
旦那さま以外の殿方の股間に興味を持ちますことなど、ありうべからざる背信行為です。
ですのに朋貴さまのやんちゃなありように魅せられて、目が離せません。おそらく肉棒はすでにいきり立って、蜜壺にぶち込みたいという様相を呈していらっしゃるのでしょう。
ありていに申し上げますと、折しもご自身が指嬲りにいそしんでおられる、ふしだらな孔に……。
「いくら可愛い弟の頼みでも番 うのはまかりならぬ。だが、そうだな……」
名案が浮かんだ。そう、おっしゃりたげに涼やかな目許に企みが宿ります。
「朋貴、賭けをしよう」
ふくみ笑いひとつ、旦那さまはアスコットタイをほどきます。
「しずはに目隠しをしたうえで、わたしのイチモツと、おまえのイチモツを交互にひと舐めさせて、どちらが、どちらのものであるか当てさせるのだ。見事、正解すれば、おまえの秘蔵の春画はわたしのものだ」
損と得を計りあぐねておりますように、朋貴さまは木馬に寄りかかります。襞をこねこねする指にそのぶん力が加わり、花びらが、ぐちゅりぐちゅり……。
「しずはに限って、まず失策は犯すまいが。それでも万にひとつ、舐め分けるのにしくじることがあれば、おまえの勝ちだ。はなはだ不本意ではあるが、しずはの口を貸してやろう。錬熟の舌づかいを堪能するがよい」
朋貴さまは、白い歯をこぼされました。挑戦を受けて立つと、おっしゃりたげに、いそいそと指を抜いておしまいになります。
指が退いていくと、内側がむずかって引き留めにかかります。一度ならず二度までも生殺しの憂き目に遭わされますのは、筆舌に尽くしがたい苦しみです。
もっともっと、ひと晩中でも、奥のほうをとっくりと虐めていただきとうございます。
もっとも異を唱えるなど、到底許されることではありません。それに……。
伊達に性技を磨いてはおりません。おふたりのイチモツの別を看破してみせまして、旦那さまに勝利の美酒を味わっていただく──。
それが、お側仕えの矜持というものです。
それにしても今宵の旦那さまは、鬼軍曹のように厳しい表情をなさっておいでです。夕月が雲間に隠れます……。
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