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第19話

 ぬぷり……と釦に狙いを定めて内壁をえぐってくださいましたら、茎が氾濫のごとき様相を呈します。が蜜をたっぷり含みまして、舶来品の絨毯にいやらしいシミが点々と……。 「ん……ん……むぅ……っ、ぅ、んん」 「勘のいい子だ。兄さまと、僕を一時(いちどき)にもてなすコツをもう摑んだ……」    過分のお褒めにあずかり面映ぅございます。ただ、お言葉を返すようでございますが、勘所を押さえたというほどのものではありません。  旦那さまが力強く押し入ってまいりますれば、朋貴さまは唇の内側にエラを引っかけるようになさいながらご自身を後ろにすべらせます。  その、あ・うんの満ち干に合わせまして上と下のお口をかわりばんこに、すぼめておりますだけなのです。  上のお口と、下のお口。  両方いっぺんに可愛がっていただけるなんて、本当に果報者です。  ご兄弟と組んずほぐれつ乳くり合うさまが、壁の大鏡に映し出されております。  穂先が()ぎ合わさって大蛇(おろち)さながらの長さと化した陽根が、体内を遡り、流れを下りながら覇権を争っておりますような眺めです。  貧相なこの躰を介して、ご兄弟が睦まやかに語り合う。  なんという名誉なことなのでしょう。  なんという素晴らしい交情なのでしょう。 「兄さまに敬意を表して今日のところは我慢するけどさ。極上の孔を目の前にして掘るのは厳禁っていうのは、酷な話だな」  苦笑交じりに嘆かれるそばから、老獪な腰づかいに拍車がかかります。頬の内側を巾着のようにつぼめまして、朋貴さまにお応えします。 「この期に及んで出し惜しみするのは野暮というものだ。兄弟のよしみでご開帳といき、甲斐甲斐しいさまを、とくとご(ろう)じろ……だ」    えっ? えぇ……っ!?  まさか、もしや、ずちゅずちゅと串刺しに縫い止めていただき、拡がりきっております(ほと)を、隅から隅までさらけ出してしまうおつもりなのでしょうか……?  じゅん、と蜜がにじみます。  ひくり、と乳首が留め具と戯れます。  しずしずと夜の(とばり)が下りてまいります──。

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