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第27話

「あっ、ああぁ……っ! 汁が、破廉恥な汁が……上等のお召し物を汚してしまいます……っ!」 「かまわぬ。愛液に由来するシミの類いは男の勲章であるのだ。第一、しずはの分泌物にまみれるのであれば、渡来の乗馬服も本望であろう」  絨毯の上に仰向けに横たえられまして、へそを折り目に躰をふたつにたたまれました。  その体勢は、赤ん坊の襁褓(むつき)を取り替えますときのそれにそっくりです。しかも陽根をむしゃむしゃと食みくだいております花芯が壁の大鏡に映っていますので、全身が桜色に染まります。  それでいて、ほっこりいたします。  (ねや)の〝あれこれ〟に注文をつけますのは、ご法度というのが不文律。  それゆえ、ねだりがましいことを口にしたことはありません。ですけれど、旦那さまは慧眼の士。  旦那さまにかかれば、お側仕え風情の胸のうちなど素通しの硝子(ガラス)のごとく透けて見えるものなのでしょう。  顔と顔を見交わし、胸と胸がぴたりと合わさります恰好で契りを結んでいただく。このときこそが、至福の時に他なりません。  傑物と(たっと)ばれます旦那さまは、その程度のことは先刻お見通しなのです。  両の脚が肩にかつがれ、腰が抱え込まれます。尻たぶと絨毯のあいだに隙間が生じましたところに、梃子の原理を用いまして太腿がこじ入れられますと、下肢が完全に宙に浮いてしまうのです。  ぐぐぐ、と切っ先が深奥めがけて突進してまいります。向き合わさって花を散らしていただく準備が整いましたところで、たくましいお躰が覆いかぶさってまいります。  旦那さまは着瘦せなさる性質(たち)です。紅毛碧眼の(やから)に交じりましても、見劣りがしますどころか、威風あたりを払います長軀は、(はがね)のような筋肉にみっしりと(よろ)われております。  ぬくもりにすっぽりと包まれますと、あばら骨がみしみしと言いますような重みに慕わしさをかき立てられてやまないのです。  旦那さまが前にのめります。その拍子に上衣の金釦に押されまして、乳嘴(にゅうし)が留め具もろとも乳暈にめり込みます。  快感という波紋が、全身に広がっていきます。花襞が、あられもなく屹立に吸いついていきますれば、茎が泣きじゃくります。 「ん、んん……んー……っ!」  旦那さまが全身のバネを利かせて律動を刻まれます。かと思えば柔術でいうところの寝技に持ち込みますように、目方を完全に預けてこられて、のったりと腰を蠢かすのです。  俗に四十八手と申します。まぐわうさいの体位ひとつとっても、応用がきき、種類が豊富で、ことほどさように興趣が尽きないものなのです。 「あ、ぁああ……比類なき魔羅で内側をくじりたててくださいますとは、もったいのう、もったいのうございます……」 「()いことを言う。どれ、奥をとっくりと可愛がってやるとするか」  笑い含みの前置きにつづきまして、足首が摑まれました。間をおかず、股が裂けてしまいそうなほどに下肢が割り開かれます。  そのうえで串刺しにしてやるとばかりに真上から叩きつけるように攻め入ってこられましたら、竿先に押されて胃の腑がせり上がります。  敬愛してやまない旦那さまが情けをかけてくださる。しずはは、なんという果報者でありましょう。

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