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第28話

   とは申しますものの、がつん、がつんと腰を打ちつけてこられましたら……こわ、壊れます……! 「善いか、どうだ、善いか。存分にいなないてみせるがいい」 「ぁ、ああ、極楽でございます……ああ!」  のけ者にされまして、不平たらたらなのでございましょう。おまけに情痴にふけるさまを目前で繰り広げられましては、面白うかろうはずがありません。  朋貴さまは、すぱすぱと紙巻きをお吹かしになります。果ては、ふて腐れたふうに自瀆(じとく)にふけりますさまが、霞がかった視界をよぎります。  貴公士でありながら、あぶれ者の悲哀を味わわれましたあげく、せんずりをこかれます羽目に陥りますとは、おいたわしゅうございます。  むずかる雄身を頬張ってさしあげますのが、お側仕えの責務と心得ますが、生憎と旦那さまに永久(とこしえ)の忠誠を捧げております身。   出すぎた真似は、いたしかねます。  さて、いざなっていただきまして、旦那さまのうなじに両の腕を巻きつけます。  口髭に唇をくすぐられまして、(おとな)いを告げます舌をお迎えにあがります。  ああ……内側で猛り狂っております旦那さまが、いちだんと嵩を増した気がいたします。たがいの鳩尾(みぞおち)が淫水でぬらつき、すべりがよくなりましたぶんも、腰のキレが冴え渡るようです。 「あ……ぅ、あ……っ! お許しください、蔑んでくださいませ……っ!」 「達くのか、達くのだな。言わずともわかる。腹の中がうねってわたしのイチモツを貪り食らい、すごいことになっているぞ」    瞬く間に昇りつめ、弾けます。旦那さまはまき散らしましたおつゆを、ひとすくい。  (ひな)に口移しで餌を与えます親鳥のように、その指をねぶらせてくださいます。自分の精を舐めとりますと、秘孔が花開いてはすぼみます。  朋貴さまが今にもスケッチを始めかねません熱視ぶりで、その模様をご覧になっておられます。  陰門を旦那さまに愛おしんでいただき、その一方で視姦の栄誉に浴しますと、茎が再び(めぐ)みます。もう、キリがありません。  それにしても、なんというめまぐるしい数刻だったことでしょう。三角木馬を御する術をまがりなりにも習得しました興奮も冷めやらぬうちに、お二方に同時にご奉仕するという秘技を教わったのですから……。  ひとつ、賢くなった気がいたします。そういえば、このように、きらきらしい一節を旦那さまから教わったことがあります。  春宵一刻値千金。  言い得て妙です。(さや)かな月の光が露台(バルコニー)から射し込み、淫具というにはきらびやかな三角木馬が、燦然と輝くのです。  情熱のおもむくままに肉をぶつけ合います交接は、いつ果てるとも知れません。いかがわしい匂いが旦那さまの居室に立ち込めます。  続けざまに達して声はしゃがれ、関節という関節が悲鳴をあげます。  上下の感覚ですら、すでにアヤフヤです。と、朋貴さまが放たれたものでありましょう。雄叫びが夜のしじまを破ります。その朋貴さまは、いつの間にやらにじり寄ってきていたのです。 「仮にも芸術家を志す者は、好奇心旺盛でなければいけない」  朋貴さまはそう、うそぶかれます。しっ、しっと旦那さまが右手を打ち振りましても、なんのその。  尻っぺたを覗き込まれて、出歯亀に励まれます。旦那さまの目を盗みまして、双丘の割れ目を人差し指でつんつんなさいます。  そのかたわら、ご子息をしごかれますに余念がありません。ああ、銃口がこちらを向きます。  顔面を狙っております。イチモツがひと回り大きくなりますとともに、赤黒さを増して凶悪な面がまえに変じます。

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