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Ⅰ 恋せよ、俺!⑨

なのに体が勝手に動いたんだ。 振られたのに、往生際が悪くても。 遠ざかる先輩の背中 少しでも距離を縮めたくて。 「アゥっ」 なに、俺。 カッコ悪い。 バランスを崩してこける。 地面が目の前に迫った。 顔面からの着地を回避しようとするけれど。 腕が。 何かに絡まっている。 リボン なんで手に? 俺のじゃないリボン 航雅の物でもない。衣装と不釣り合いだから。 誰のか分からない赤いリボンが俺と航雅の手首にまとわりついて、腕が出せない。 俺っ…… 視界が暗転した。 「結羽!」 真っ黒に落ちた意識で、最後に聞いた声は誰だったんだろう……

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