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Ⅱ あれれ……②
「俺の結羽」
ぎゅっ
腕の中に抱きしめられて。
「良かった」
心配してくれた航雅よりも、真っ先に先輩を見たのはどうしてなんだ?
ドキンッ
鼓動が軋 む。
なんで?
航雅は俺を心配してくれてるのに、胸が痛い。
航雅の胸の中で、ぽんっ、と……
……大きな手が頭に置かれて。
それが先輩の手で……
どうして?
なんなんだ、この気持ち。
キュッと締め付ける。心の奥の深いところ。
俺、大事なことを忘れてる。
……でも。
忘れてどこか、ほっとしてる。
それがとてつもなく悲しくて、寂しくて。
「幸せになれよ」
先輩。俺、告白に成功したの?
航雅と付き合う事になったの?
ぽんぽんっ
頭に置かれた先輩の手が髪を撫でる。
それが答えなんだ。
でも、なのに。
じゃあ、どうして。
胸が痛いよ……
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