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知られざる真実3

父と兄の涼の間に、微妙に壁がある事を翔也は理解しているし、それは当然だろうとも思っている。 母の由美を紹介された時、翔也は9歳。母という存在がまだまだ恋しい時だった。 一方、兄の涼はその時すでに高校生。 今、高校生である自分に、見知らぬ男を父親になる人と紹介されても、そうあっさり認めるのは無理だ。 実の親子でも会話も少なくなる年頃。 涼がよそよそしい態度をとっても仕方ないが、父はそれなりに頑張っている方だとも思う。 この前も就職祝いにロレックスとオーデマピゲの時計、最初はどちらかと言っていたのに結局両方涼に贈った事を翔也は知っている。 二つ合わせて500万近いモデル。 自分の家が裕福だという自覚のある翔也でも、その額は目を見張る。 お金が愛情のバロメーターでは無いといっても、大事に思っている相手にしか出せない額だ。 今更仲良くして欲しいなどと子どもじみた事は思わないが、父が実子と連れ子を差別するような人間ではないと、その点だけは涼にわかって貰いたいと思う。 「将来も二人で一緒に生きていけたらいいのに…」 願望が思わず口に出る。 仕事に関してはいつかの未来に、涼が社長で自分が副社長とか、そんな状況になる可能性が絶対にないわけではない。 でもその時には、涼は家庭を持ち妻や子どもに囲まれているだろう。それを考えると辛い。 同性を好きになる、自分がそのタイプの人間なのだとしても兄に恋してしまうなんて、ほんと救われない。 いっそ告白して、はっきり振られた方が諦めがつくだろうか。 でも、一緒に暮らす同性の弟にそんな邪な想いを持たれているなんて、兄の立場に立てばどう考えても気持ち悪い。 他人であれば、振られましたさようなら、となるが、家族はそうはいかない。 身近にいるのに嫌われるのは悲し過ぎる。 やはり、この想いは封印するしかない。 翔也はため息をつく。

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