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抑えきれぬ劣情2

「ご馳走さま」 「俺も」 涼と翔也が夕食を終え、たまたま同時に立ち上がった。 「あらー大きくなったとは思ってたけど、すっかり涼さんより大きくなったのね、翔也君」 お手伝いの真紀さんが並んだ二人を見て言う。 「うん、10センチくらいは抜かしたかな」 翔也の言葉に涼が続ける。 「ほんと、兄貴に気を使えよ」 「やだよ、もっと抜かすつもりだから」 「うえっマジか」 翔也は高3の夏休みを迎えていた。身長は順調に大きくなったが成績が伸びない。 「もー分からん!」 スパッと数式にあてはめられない科目が苦手だ。古典の文法とか特に。 志望校の見直しを考えていないのかと、今日、夏期講習で予備校講師に言われた。 それでは意味が無い。 涼と同じ大学に行って同じ立場に立つ。 勉強の目的が完全にそこにある翔也には、他の選択肢は考えられない。 「兄さんに聞こう」 出版社に勤める涼は文系が得意だ。 廊下に出ると、丁度風呂上がりらしい涼が部屋に戻ってくるところだった。 「教えて欲しいところがあるんだけど」 「科目によるよ。数学、物理は無理かな」 「古典の文法」 「古典なら大丈夫。おいで」 「あーこれは…」 逆効果だったかもと翔也は思う。 自分の真横で真剣に答えてくれている涼の言葉に集中出来ない。 シャワー後の微かなシャンプーの匂いが心を惑わす。 それでも必死に集中しようと翔也は努力した。 ひとしきり説明を終えた涼が翔也に聞く。 「翔也は志望校変わらないの?うちはさ、経済的に国立じゃなきゃダメっていう理由も無いし、そんなに無理しなくてもいいんじゃないかなぁ」 翔也は涼を見つめた。 「何でそんな事言うの?」 涼がなだめるように話す。 「なんか最近苛々してるみたいだしさ。私学でも優秀なところあるし、別にあそこじゃなくても」 「それじゃ駄目なんだよ!」 翔也は大声を出す。 「俺は兄さんと同じ大学に行きたくて、行って兄さんと同じ立場になって、それで」 涼がびっくりした顔で翔也を見つめる。 何でこんなに頑張ってるのに、予備校講師と同じこと言うんだよ! 一緒の大学行って同じ立場になるんだ! 俺はもう弟は嫌なんだよ! こんなに好きなのに、何で兄弟なんだ! 抑えてきた想いが心の中で爆発し、翔也の張り詰めていた気持ちは崩壊する。 手を伸ばし、すぐ横にいた涼を床に押し倒した。 「えっ?えっ?翔也?」 わけがわからず、一瞬のことで逆らうことも出来ず、涼は横にされてただ驚きの声を上げる。 全く予想もしていない出来事に、涼が戸惑っているその瞬間、180を超える18歳の男の力で、涼の薄い夏のTシャツは襟から裂かれた。

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