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秘めた情事2

「久しぶりだな。海外進出は以前からの夢だが、お前に会えないのは寂しいよ」 経営するホテルの海外進出を狙っている武範は最近忙しそうで、何度も台湾や香港などの現地に行き涼を呼び出す間隔が飛ぶ。 武範の仕事に一切興味などないが、武範とのセックスを嫌悪している涼としては、会う時間が物理的に減る海外進出は歓迎すべき事業だった。 今日は久しぶりに都内のホテルに呼び出されていた。 翔也と関係を持って数日は過ぎていたが、情事の痕が完全に消えているのを確認してからここへ来た。 シャワー後、いつものように全裸で両手は前で縛られる。 縛り終わると、口づけられて、耳朶を噛まれた。 「いっ…」 何年も相手をさせられているが、涼にとって痛みは苦痛でしかなく慣れるというものではない。 武範が自分を気に入っている理由の一つに、痛みに快感を感じないところだろうと涼は思う。 痛みはそのまま痛みにしか感じない涼が悶え苦しむ姿を、武範は楽しむのだ。 ひとしきり涼の身体を嬲った後で、武範はベッドの上で俯せになるように告げた。縛られたままの両手は頭上に置くように、と。 武範の手には1本鞭がある。 従わなければ終わりがない。早く済ませてしまいたい涼は言われるままに身体を横たえる。 ヒュッと空気を切る音とほぼ同時にビシッと皮膚を打つ音が響く。 「うっ…」 くるとわかっていても、鞭の衝撃に身体が硬直する。 ビシ!ビシッ!! 何本もの赤い線が涼の身体に刻まれていく。 「あっ…うっ…」 苦痛に流れる涙がシーツに溶けていく。打たれた箇所が熱を持ち、辛さを耐えるうちに呼吸が荒れ浅くなり、過呼吸に陥り意識が朦朧としてきた。 「鞭に酔ったか」 武範の言葉が遠くから聞こえる。 武範は手で涼の口元を押さえた。吐いた息を元に戻すことで、過呼吸で薄くなり過ぎた二酸化炭素を増やす。 しばらくしてようやく涼の呼吸が落ち着く。武範は冷蔵庫からミネラルウオーターを出した。涼を起こすと手首の縄をほどき水を渡す。 「大丈夫か?」 答えずにいると顎を掴まれ口づけられる。 「涼、ちゃんと食べているか?お前は痩せすぎで、心配だよ」 鞭で打ち付けるようなことをしておいてよく言うと思うが、それが武範なのだと涼は思う。 独占欲の塊で、涼を苦しめるのも自分だけの役割と思っている。 涼に近づくものは葉っぱ一枚でも憎むこの男が、翔也との関係を知ったらどうするのだろう。 翔也は武範の実の子どもだが、不意に心配になる。

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