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秘めた情事4
「兄さん、今日…いいかな…?」
何を?と質問するほど、翔也に対し意地悪する気にはならない。
涼は高3の頃既に武範からサディスティックなセックスを強要されていたので、行為そのものに嫌悪しかなかったが、翔也は涼に好意を持っている。
好きな相手が目の前にいれば、毎日でもと思う年頃だ。
相手を傷つける事はいけないという言いつけを守り、涼に負担をかけないよう翔也なりに間を空けているのだろう。
可愛い。
義父の武範との最近のセックスは1週間前。鞭痕や縛られた痕は消えているはず。
「いいよ」
涼が承諾すると、ぱあっと翔也の顔が明るくなる。
「兄さん、兄さん好き」
ベッドの上、翔也は涼に愛撫を施しながら好きを繰り返す。好きすぎておかしくなりそうな程、いやもうおかしいのか、とも思う。
血の繋がりはなくとも、戸籍上も完全な兄弟なのだ。でもこれは兄弟愛ではない。その唇にキスがしたい、その胸を愛撫したい、秘めた場所に入れたい。いつもそばにいるのに、そばにいるから、姿を見るたび、声を聞くたび、抱きたいと思う。
ただ涼は仕事をしている。そうそう負担をかけることは出来ない。精一杯自制して限界に来た時ベッドへ誘っている。
このまま涼と一生共に過ごしたい。そのために涼が今でも好きだという男以上の男になってみせる。
その男、涼と一度は付き合いその後別れたという男に翔也は心当たりがあった。
涼が大学4年の時、サークルで作った映画の中、涼が美女役で、涼を襲う吸血鬼役の男がいた。涼はその頃とても幸せそうで明るく、弟の自分にまで『あいつはいい奴だから会わせたい』と言っていた。
涼が好きなのはきっとあの男だ。顔なんて覚えていないが、その吸血鬼役の男に会わせたいと涼が言ってたことは覚えている。
その後涼が就職した最初のゴールデンウィークを迎える頃、家族とも顔を合わすことなく仕事に没頭し、母の由美と一緒にブラック企業なんじゃないかと心配していた。
まだ高1だった自分も、そんな企業は辞めて父さんの会社に就職すればいいのにと考えていた。
きっとあの頃、あの男と別れたのだ。忘れようと仕事に打ち込んでいたのだろう。
どんな事情があったにしても、涼を振るなど理解出来ない。
涼の秘めた中に押し入る。
「あっ…」
仰け反る姿も、自分の動きに合わせ喘ぐ声も愛しい。
綺麗な人。
こんな人に想われて、振る奴がいるのか。でも自分にチャンスを与えられたのは事実だ。
勉強も頑張ろうと誓う。頑張って、涼を守れるような男になって、自分を恋愛対象として振り向かせてみせる。
「んん…あっ…」
涼が喘ぐ。
その声に動きを一層加速させて、翔也は涼の奥深くまで己を突き上げた。
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