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崩壊の序章5

台湾に建てたホテルのグランドオープン前に、母の由美と豪華客船の船旅に出るプランを、涼は武範から事前に聞いていた。結婚10周年でもあるし、由美へのプレゼントと考えていると。 話しを聞いた時、由美がどんなに喜ぶだろうと涼は思った。それと同時に、武範が自分に見返りを要求するだろうということも。 「海外への新規参入はかなりの労力がいったよ。日本とは勝手が違うし。ずっと忙しかったからしばらく部下に任せて俺も休みを取ろうと思う。グランドオープン前に船旅をするから日本を離れる。その前にお前とゆっくりしたい」 武範は由美に優しい。フォーマルな場での振る舞いなど、あまり聡明でない由美は理解していない事も多いが、武範は怒ることもなくフォローしてくれる。今回の旅行も由美が楽しめるように様々気を使ってくれるだろう。それがわかっているからこそ、武範の言葉に頷くしかない。 「出発の前の金曜日から日曜日まで空けておいてくれ。Rプリンスホテルのロイヤルスィートを押さえてあるから」 武範の命令に気持ちが沈む。二日間もホテルに缶詰めにされ、玩具にされるのかと。 普段は長くても一泊、互いに忙しければ数時間で済む時もある。今度は縛られ鞭打たれ、苦しいセックスの相手を連泊でしなければならない。 でも…。 豪華客船の船旅なんて武範との結婚10周年の由美へのプレゼントとしては最高なプランだ。母思いの翔也も一緒に喜んでくれるだろう。自分が我慢さえすれば、由美の喜ぶ顔が見れる。 涼に拒否する選択肢などない。 そして武範と由美が出発する前週の金曜日となった。 涼は通常の仕事を終え、由美と翔也にはそのまま取材旅行に行くと伝えて、今武範と二人でホテルにいる。 武範が日本を離れる前に仕事を片付けるといえば、由美は夫が二日間も家を空けても、何ら不思議には思わない。そもそも武範は、そんな由美のおおらかといえば聞こえが良いが、人を疑わない単純なところが気に入っているのだ。 シャワーを浴び、身体の水分を拭き終えるといつものように全裸のままベッドルームに涼は向かう。 ベッドサイドに涼が立つと、先にベッドにいた武範は手を伸ばし、涼を引き寄せた。 「ん…」 口づけ、耳元から首筋、デコルテへと噛むような勢いで涼の肌を嬲っていく。 「うっ…」 乳首を指先で摘む。 「感度いいな」 武範はベッドサイドに手を伸ばし、ニップルクランプを取る。

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