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破砕する心5
自分が愛する涼の傷だらけの肌、その相手は父親だと言う言葉、10年前からという年月、初めて見る激昂している涼、今起こっている事象を理解する翔也の脳内容量にも限界がある。
「で、でも!今も父さんに従わなくても!仕事もしてるんだし逃げようと思えば…」
翔也の言葉に涼は振り向き睨みつけた。
「逃げようとしたよ。大学4年の時付き合った長山糺と生きていこうと思った。でも義父さんは糺の実家も仕事も調べ上げ、俺が逃げれば糺の生活を潰すと脅した」
「そんな…」
「不慮の事故に気をつけないとも言われたよ」
「まさかそんな、それじゃあ犯罪…」
「そうだな。そこまでするかどうかはわからない。でもレイプ被害を訴える女くらい、金を積めば用意出来るって言ってたよ。実際そうだと思う。痴漢でも何でも普通の会社員にとっては致命的なその手の詐欺くらい金で操作出来るし、義父さんはその金を持っている。俺の行動を監視する探偵を今だに付けてるくらいだから」
「探偵を?」
「俺は義父さんの玩具で、その玩具が勝手なことをするのは許せないんだ。独占欲の激しい人だから。糺の安全のために俺は別れた。別れて、今までずっと義父さんの相手をしてきた。お前に抱かれる時も必ず傷が消えているか確認して…」
涼の言葉が涙で詰まる。
容量オーバーの翔也だったが、それでも涼の話す言葉は思い当たる事ばかりで、それが事実だと思い知らされる。
一月に一回くらいのペースで、二人同時にいない日が必ずある。実際翔也は二人が一緒にいる場面も見た。
涼がうたた寝している時に、腕に青黒いアザがあるのを見た事もある。縛られた痕と言われれば、まさにそんな感じだった。
涼の話しが事実だと思う程に、金縛りにあった様に身体が動かなくなった。喉がカラカラになり、言葉も発せない。
父さんが、自分の父親が、戸籍上も息子である涼を脅し激しいSM行為の相手をさせていた。
自分が愛し、一生を共に送りたいと考えている涼の身体を我が物顔に嬲っていた。
その事実に茫然とする。
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