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Ⅱ.仮装大作戦!!

 準備は万端! (サク)にしてほしい仮装の道具は、全部学校に持ってきた。普段使ってるスクールバッグの代わりに、大きめのボストンバッグっていうのは、いかにも「なにか企んでます!」って感じが強すぎたかな。朝、いつもどおり迎えに行ったのに、咲は顔を青白くしながら、オレの方を睨み付けた。  オレとボストンバッグを交互に見てる。 「咲? どうしたんすか? 調子悪い? だったら休もう? オレが付きっ切りで看病してあげるっす!!」 「オレの体調はついさっきまで万全だった。調子が悪そうに見えたなら、お前のせいだ。なあ、達希(タツキ)? 普段のスクバはどーしたんだよ? そのバカデカいボストンバッグの中身はなんだ?」 「あ、バレた?」 「むしろ何でバレないと思った!? お前、そんな外見が許されるくらいなんだから、成績は良いんだよな!? なんで普段はポンコツなんだよ!?」  あ、吼えられた。  でも咲、朝には強くないから、そんな朝っぱらから吼えて大丈夫なのかな? 言わんこっちゃない。オレが言うより先に咲がちょっとふらっとするから、腕を伸ばして慌てて支えた。  支えようとしたんだけど、ぱしっ、と弾かれちゃった。 「えー、なんでっすかぁ。オレ、幼馴染を気遣う良いコだったじゃねぇっすかぁ」 「お前自分が10年以上なにやってたか、忘れてんだろ!? 最初の1年2年ならまだしも! ハロウィンのお前を警戒すんな、って方が無理だ!!」  きっぱり言い切られた。ひどい。  確かにボストンバッグの中身は仮装セットっすけどね!? 幼馴染を少しくらい信頼してくれたって良いと思うんうわ。 「つーかお前、そんなにオレの仮装を見てぇの? なら……まあ、10年以上ここまで頼み込んだんだ。検討してやっても、良い。ただし! ただし別の日な。なんなら、ほら、明日にでも好きな格好してやるからさ」 「嫌っすぅー。今日じゃないと意味ないっすー」 「今日なら、やらねぇぞ?」 「てか、咲の話によると、咲は今日、おにーちゃんに攫われちゃうんでしょ? 明日ってあるんすか?」 「凍薔薇(イバラ)さん、な。つーか別に攫われるワケじゃねぇし。まあ、おにーちゃんが迎えに来てくれるなら嬉しいんだけどよ……」 「吸血鬼の花嫁じゃないんすかー?」 「そこまで信じちゃいねぇって」  くすくすと笑う咲は、やっぱ可愛いっすねぇ。  そっと猫耳を取り出して咲の頭に取り付けようとしたら、ガリって引っ掻かれた。ちょ、まだ猫耳を付けていないのに猫さん仕様っすか!? 「ほら、行くぞ。ぼんやりしてると置いてくからな」 「えー、やだっす! 待って待って!!」  ボストンバッグを持ち直して、咲を追いかける。大丈夫。まだまだまだ、チャンスはあるっすよー!  ぐっと拳を作って、決意新たに「咲仮装作戦」決行っす!!

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