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仮装大作戦!!@2
「咲がオレの事避けるっすぅぅぅぅぅ!!!」
涙声で叫びながら、近くにいたクラスメイトくんにダイブ。悔しさとか、怒りとか、寂しさとか。そーいうもろもろを込めて、ぎりぎりとクラスメイトくんを締め上げた。
「ギブギブ!」とか聞こえるけど、ごめんね、今のオレにそんな余裕はないっす。「うわーん!!」泣き叫びながら、今度はクラスメイトくんの背中をバシバシ叩いた。
……いてっ!?
「何するんすかぁ!!」
「それはこっちのセリフだ! 急に飛びかかられて、締め上げられる身にもなってみろ!!」
「だってだって、咲がオレの事避けてるんすよ!?」
「おい、縁深 。自分の胸に手を当てて、理由をよーく考えろ?」
自力で腕を引き抜いて、オレの頭を思いっきり叩いたクラスメイトくんは、今度はオレの胸をトントンと叩く。
けっこーオレ、素直っすからね。言われるままに胸に手を当てて…………うん、
「分かんないっす!!」
「お前が成績上位とか嘘だろ!? それとも何か? お前は雅 の事になるとヘッポコになるのか!?」
「えー。だって、咲がオレを避ける理由なんて、なくねぇっすか?」
「お前まさかそれ本気で言ってないよな? 本気で言ってるなら1回病院に行ってこい」
「頭もお耳もお目目も、バッチリ正常っすよ!」
「そのボストンバッグの中身はなんだ!?」
「仮装道具っす!」
「それだよ!!」
結論から言えば、オレの仮装大作戦は絶不調。咲はオレのすることなんてお見通しって感じで、ひらひらオレの事を華麗に避けちゃう。
いやぁ、付き合いが長いとパターンなんて読めてくるっすからね。まさか幼馴染っていうのが、ここに来て不利になるなんて思わなかったっすわ。
オレと咲が幼馴染なんだから、咲とオレも幼馴染なんだけど、逆ができないのは、残念ながらオツムの差ってヤツっすね。
「つーかお前、雅のこと好きなんだよな?」
「当たり前っすよ! 大事な幼馴染っす」
「じゃあなんで、嫌がる事してんだよ。雅は小さい頃別れた、誰だっけ? おにーちゃんに会いたいだけなんだろ?」
「そのまま連れて行かれちゃったら、どーするんすかぁ!!!」
吸血鬼の花嫁はともかく、そのままおにーちゃんと一緒に行っちゃった、なんて展開絶対に嫌だ。認められないっすわ。
それに、このクラスメイトくんは分かってないっす。大好きな幼馴染が他の人間との思い出を大事にしてるって、不愉快に決まってるじゃないっすか!
ただいま、休み時間。
刻々とタイムリミットは迫ってるから、そろそろ強引な手にも出たいんだけど、肝心の咲はどっかに行っちゃってる。
「……咲、オレよりおにーちゃんの方が良いんすかねぇ……」
咲のいない机に向けて、ぼそっと呟いた。
「シリアスぶってるけど、手にネコミミカチューシャ持ってる時点で自業自得だからな!?」
……クラスメイトくんのツッコミで台無しになったっす。
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