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無関係
「何やってんすか、センパイ」
「……おお」
「真顔で口モゴモゴさせつつ鼻息荒いとか、普通に恐いんでやめてもらっていっすかね」
見計らったようなタイミングで紫乃が姿を現し、ギクリとする。
見られたくないところを見られてしまった……。
「う、うるさいな。お前にもらった飴、何味か分かんねえから考えてたんだよっ」
「ああ、それ。何味だっけ」
「えっお前も分かんないの? そうなるとガチで気になってくるやつじゃん」
「……つーか先輩、いつもながらイイ匂いさせてますね」
毎回思うけど、こいつ嗅覚が犬並みだよな。
アップルパイの袋を持っている俺でも、匂いなんて感じないのに。
「おなか減ってんのか? アップルパイならあるけど」
「まあわりと常に空腹っすね」
「へっ、そんなスタイル良くて結構食べるほうとか?」
紫乃は俺の顔をじっと見つめたかと思えば、何故かげんなりとした顔ですぐに大きなため息をつく。
……なんか機嫌、悪い?
いや、体調が悪そうなのか。
最近急に冷え込んできたし、風邪気味とか?
「はあ……、食いたい」
「なんだよ、食いたきゃ食えって」
「いや……、いいっす。いらねえ。つか今日なんの日か知ってます?」
「え? あー……、あっ、ハロウィン?」
だから今日は何だか学校中がざわついているというか、普通の平日なのに、みんな浮き足立っているような気がしたのか。
ま、俺には関係ないや。
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