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たどる指

俺の中でざわざわと騒ぎ出した、未知の感覚。 息苦しいほどの高揚感。 真山の指先は、まるで壊れものに触るみたいに丁寧な手つきで、ひどく静かに俺に触れた。 びりりと電流が流れ続ける。 俺はもうまっすぐ座っているのさえむずがゆいような気持ちになって、もぞもぞと腰を浮かせた。 真山の指が動いて、二つ目のほくろに触れる。 はじめはかすめるように、次にそっと撫でるように、それから少し力を入れて、くっと押す。 もっと思いきり触ってくれればいいのに。つついたり、つまんだり、えぐったりすればいいのに。 なのに、そんなふうに優しく触れるから、おかしな気持ちになってしまうのだ。 もっと触ってほしい、なんて――。 「深見……」 真山がうめくように俺を呼んだ。 熱に浮かされたような顔がゆっくりと近づいてくる。 かすかに開いた唇が、声もなく『ふかみ』と囁く。 夜空みたいな瞳に、俺が映っている。 まるで燃え上がるような――。 「遅くなってごめんねー、会議が長引いちゃって」 突然の声と同時に、がらりとドアが開く音がして、俺と真山はびくりと肩を震わせた。 保健の先生の声だと気づき、近づいてくる足音に頭が真っ白になった俺は、思いきり真山をつき飛ばした。 「わ、わっ!」 情けない声をあげて、真山がパイプ椅子の上にがしゃんと腰を落とした。 「どうしたの、大丈夫!?」 しゃっとカーテンが開いて、先生が顔を出した。 「だだだ大丈夫です! なんでもありません!」 俺はわたわたと横になって、頭から布団をかぶった。 きっと顔が赤くなっているだろうと思ったのだ。 「深見くん、本当に大丈夫? まだだるい?」 「いえ、ただの寝不足なんで、あとちょっと休んだら戻ります」 「そう? 先生ちょっと電話しないといけないんだけど、平気? 真山くんが見ててくれるから大丈夫かな」 「はい、はい、大丈夫です」 布団の隙間からちらりと真山を見ると、まだ熱に浮かされたような眼差しでこちらを凝視している。 やっぱり変態だなこいつ、と笑いが込み上げてきた。 ほくろ触りたがるなんて、俺には全く理解できない変態だ。 先生が離れたあと、俺は布団をはいでゆっくりと身を起こした。 その拍子に、腕が目に入った。 真山が星座を読み上げた声が、壊れものみたいに大切そうに触れた指の感覚が甦って、鼓動が早まり変な気分になってくる。 俺は慌てて袖を下ろすと、真山を見て言った。 「教室戻ろう。付き合わせて悪かったな」 「全然。俺的には得しかなかったよ。抱っこできたし、眠ってる顔見れたし、ほくろに触れたし」 「抱っことか言うな! 恥ずいわ!」 俺はぼこんと真山を殴って、ベッドから飛び降りた。

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