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同棲
「はっ?」
俺は母さんの電話に頭の中が疑問符が一杯になる。
スマホの着信音で起こされたと思ったら、電話の内容が母さん達が海外の研究施設からスカウトがかかり滅多にないチャンスなので海斗を頼むと言われた。
寝起きで頭の働いていない俺は尚更意味が分からず間抜けな声が出てしまったわけだ。
「え?頼むってなに?」
「あら聞いてなかったの?海斗をそっちの高校に編入させるから、新しい家に移って一緒に住んでちょうだい」
「ん~?」
海斗は部活があるからとまだ夏休みも半ばなのに名残惜しそうに実家に帰って行ったのを数日前に見送ったばかりだ。
海斗が帰ってすぐなのに、展開が急すぎるだろ。
もしかして母さんなりのドッキリなのか。
でも、息子にこんな笑えないドッキリとかドッキリじゃないから。
「いやさ。海斗も、一応頑張って勉強して今の高校に入ったわけでしょ?そっちじゃ駄目なわけ?もう一応高校生なんだし一人で大丈夫だと思うんだけど。それにせっかくできた友達と離れるのも嫌だろうし…」
「流石に自炊できないのがねぇ」
「あー」
今まで実家では俺が料理を作って居たので気が付かなかったが、海斗は壊滅的に料理のセンスがない。
どこまでセンスがないかというと、小学生でも失敗しないカレーから異臭がしたほどだ。
両親が暫く帰ってこなくても、母さんが何かを作りおきして置いてくれたが流石に海外に行くとなれば話は別だ。
いくら便利な世の中になってスーパーやコンビニがあっても長期間となれば流石に俺も心配になってくる。
「それ本人に話した?」
「ええ。前々から話はあったから海斗には一緒に来ないかって言ったんだけど、どうしてもあなたと住みたいって言ったのよね。今は編入試験の追い込みの為に図書館に行っているわ」
「そう」
まぁ本人がいいのなら俺には何も言うことはないかな。
それに、この前来た時にはもう決まっていたって事か。
何だよそれならそう言えよ…兄ちゃんさみしぃぞ。
「家はあんたに任せるから、決まったら契約書送って来なさい」
「分かった。で、母さんはいつ出国予定なの?」
「2週間後よ」
「は?2週間?!すぐじゃん」
あまりにも急過ぎて流石の俺でも頭が痛くなってくる。
これは休みだからってのんびり寝ている場合ではないぞ。
「家具とかも適当に買っていいわよ。あと、今月いっぱいでそこの解約手続きもしてあるから」
「ははは…相変わらず無駄がなく、行動がお早い事で。ありがとう。今日決めてくるわ」
電話を切ると早速海斗にLINEを送った。
俺の大学と海斗の新しい高校が近い方がいいからな。
『おつかれー\(^^)/編入するとか災難だったな』
『おはよう。でも兄さんとまた一緒に居られるの嬉しい』
そのメッセージを読んだ瞬間俺はスマホを落としてしまう。
まだスマホに不馴れなのか文章がぎこちない。
だがそれがいい。
「ああああぁぁぁぁ!!!俺のハートを弟可愛すぎかぁぁぁぁ!」
思わず叫びながら枕にダイブした。
本当に今までの俺はよくこんな可愛い生き物ほっといたな…過去の俺は何をやっていたんだはやく気付け。
謎の葛藤を続けて居ると、またメッセージが入ってきた音がする。
『俺、兄さんと居るために編入試験の勉強頑張るよo(`^´*)』
そうだった。
部屋をどのあたりにするかを聞かねばならなかったのだ。
俺はがばりと枕から顔を上げてベッドの上で正座する。
『何て高校に編入するんだ?』
『モリオン学園って所らしい』
俺は再びスマホを落とした。
モリオン学園は才能のるつぼと言われるほど世界的にも有名な学園都市だ。
小さな頃から才能を見込まれた子供達が集まってくるあの学園は一般生徒も受け入れているが相当大変かもしれない。
『試験大変だろうけど、無理すんなよ!』
平静を装って返事を返し、俺は急いでベットから降りて着替えを済ますとネットで調べ大手の不動産屋へと向かった。
その日のうちに何軒か内覧を済ませ、間取りもよくて家賃もそこそこのいい物件を決めた。
早速実家に契約書を送る。
ふと、モリオン学園なら寮があったはずたと思ったが、俺と一緒に住みたかったのかと思うと家に帰る足も自然と軽くなった。
思わず俺はスキップしながら帰ったら通行人に不思議そうな顔をされたが、これからの事を考えると気にならなかった。
+
あっという間に期限の2週間がたった。
両親の出国を見送りをして、俺達は新居に帰ってきた。
「合格おめでとう。海斗なら大丈夫だと思ってたぞ」
「ありがとう…兄さん」
ばたばたとしたが海斗の合格発表も終わって無事に俺達は再び一緒に住む事となった。
新居への手続きも、海斗の引っ越しも、なんとか全てが滞りなく進んだ。
まだ荷ほどきまで手が回ってないけども。
なので新居は段ボールだらけだ。
「合格したご褒美は何がいい?決まったか?」
海斗には合格が決まったらまたご褒美をやると言っていた。
やっぱり目標があると違うと思ったからだ。
「兄さん…」
「どうした?甘えん坊か?」
海斗がするっと抱きついてきて、肩に頭を擦り付けてくる。
大きい犬みたいで益々可愛い。
頭一つ分大きくなったが、こんなところはまだまだ可愛いと思ってしまう。
よしよしと頭を撫でてやると、すりすりと頭を擦り付けてくるのがまた可愛い。
「今日は…俺からしたい」
「ん?」
「ご褒美に、兄さ…陸斗からいつもしてくれるのを今日は俺が全部したい。それから今日だけでいいから陸斗って呼びたい…な?」
予想していなかったその申し出に、顔がぐわぁぁと熱くなる。
困った見たいに首を傾げてくるのも反則だし、なんだその可愛いお願いは。
殺す気か。
流石の俺でも珍しく恥ずかしくなって、とりあえずコクンと頷くだけの返事をした。
「か、かいとぉ…もういい…お兄ちゃんの中にはやくちょうだいよぉ」
「まだ駄目だよ…もうちょっと慣らさないと」
ベットに雪崩込んだ後、俺は丁寧に服を脱がされ身体中にキスの嵐を受けた。
その時点で幸せなのと、恥ずかしいので軽く死にかけた。
現在俺は、手にローションを絡めた海斗に丁寧に後ろを慣らされ絶賛お預け中だ。
ぷちゅん、くぽっ、つぽっ
俺がイタズラできないように腕は頭の上で海斗の左手で一纏めにされてしまっていた。
音だけでも恥ずか死にそうなのに、俺の息子さんまでマジマジ見られて発狂しそうだ。
「今日の海斗くんイジワルだぁ」
とりあえず海斗にキスをおねだりするために首をあげる。
舌を突き出すと、その舌を絡めてくれる。
そういうところは純粋なんだよなぁとか思いながら海斗の舌と自分の舌を擦り合わせた。
「ふあぁ…かいとぉ?もおいいでしょ?か、お腹ムズムズするよぉ?」
「う、うん」
やっぱりこんな時でも俺が主導権を握れてしまうのは海斗の詰めが甘いと思う。
けど、俺の身体は今はそれどころではなくて海斗の熱いものがお腹に入って来るのを全力でお出迎えしちゃってるわけですよ。
腹の奥がきゅんきゅんしてしまってるし。
「陸斗の…絡みついてくる」
「かいとぉ…海斗が入れてるのにそんな溶けた顔しちゃだめだよぉ?」
もう海斗の顔は幸福感でいっぱいだ。
その顔を見ただけで、俺は胸まできゅんきゅんして逝ってしまった。
心臓も体もトキメキが止まらないわ。
「んっ…ふはっ」
「陸斗入れられただけで逝っちゃった。凄い締め付け…」
少し切羽詰まった声だが、海斗は凄く嬉しそうだ。
まぁ今日はこのまま身を任せてやることにする。
ちょっと余裕ありそうなのが生意気だけど、今日は俺が存分に甘やかされてやろうではないか。
「凄かった…」
海斗は行為が終わると、俺の身体を拭いてくれたりと至れり尽くせりだった。
後処理が終わると海斗もベットに倒れこんできたので、俺が頭をぎゅと抱き締めぽんぽんと撫でて居るとやはり疲れていたのかあっさりと寝てしまった。
寝顔はしている時と違いまだ少し子供っぽい。
たまにはこんなのもいいかも知れないと思いながら俺も睡魔に誘われて夢の国へと旅立ったのだった。
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