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初仕事
「兄さん?兄さん?今日バイトじゃないの?」
ゆさゆさと身体が揺さぶられる感覚と、海斗の声で目が覚めた。
三が日が終わると研究室の事が気になるし、ついでに向こうで借りている家の周りを観光するのだと言って両親は飛行機で颯爽と帰ってしまった。
見送る為に海斗と住んでいるマンションにそのまま俺達も帰ってきたのだが、昨日の夜は休み明けに提出のレポートの追い込みで遅くまで調べ物をしていたせいで少し寝過ごしてしまったようだ。
「ん~?なに海斗くん…新婚プレイ?」
「しんこんぷれい?兄さん何言ってるの?」
俺はまだ覚醒していない頭で海斗が不思議そうな顔をしているのを見た。
まだ正月気分も抜けていないし、昨日の夜更かしのせいで眠くてたまらない。
「新婚プレイなら、海斗くんが俺にちゅーしてくれなきゃ起きない!」
「ちょっ!!兄さんふざけてるの??それに、その発言はもう起きてるでしょ」
ヤバイ本格的に目がしょぼしょぼしてきて上瞼と下瞼がくっつきそうだ。
海斗がわたわたと慌てているが、きっとこれは夢だと思って寝返りを打とうと思ったのだが海斗が更に慌てている気配がする。
でも、お兄ちゃんは眠たいのです。
寝たいんです。
おやすみなさい。
ちゅっ
「これで起きれる?」
唇に軽い衝撃のあとにリップ音がしたので俺はぱちりと目を開いて海斗の顔をまじまじと見る。
俺が起きた事でほっとした様な驚いた様な、なんとも複雑な顔をしている。
そんな海斗に俺はそろりと手を伸ばす。
ガシッ
「えっ!?」
俺は思わず心配そうに覗きこんでくる海斗の身体をベッドに引きずり込んで腕と足でホールドした。
そんな海斗からは、予想だにしていなかった俺の行動に驚いた様な声が上がる。
「ちょっ!にいさっ!ねぼけて…」
俺はホールドした海斗に自分の口を寄せてそのまま舌をねじ込んだ。
部屋にはぐちゅぐちゅと舌を絡めた時の水分の多い水音が木霊しはじめる。
「海斗くん?」
「ごめん兄さん…」
腹に熱くて固いものが当たっているのに気がついて、俺は海斗の顔を見返した。
当の海斗は顔を手で覆ってしまったが、見えている耳まで真っ赤にしている。
俺とあんな事やこんな事、しかもその切っ掛けは自分が仕掛けてきた癖に何でこんなに初心なんだ。
あの時のやる気を出せよ。
俺の心の熱血テニスプレイヤーが熱血したところで我に返る。
「お兄ちゃん…これらからバイトに行かなきゃいけないから抜きっこしようか?」
俺が優しく声をかけてやると、海斗は素直にこくんと頷いた。
お、今日は珍しく素直だなっと内心で思ったけどそう言えば実家に居るときはこたつでしてからは常に親が居てできなかったのと、自分達のマンションに帰って来てからも俺が課題で忙しくて相手をしてやってなかったなと寝起きの頭がフル回転した。
年頃だから溜まるよねぇ。
うんうん。
お互い若いもんな分かるぞ。
「に、兄さん!そんなとこ匂いかがないで!!」
「えー?ここから海斗くんの濃くてエッチな匂いがするのにー」
俺の拘束から逃れた海斗の股間に、俺は迷わず顔を埋めた。
スウェットを奪って下着越しにスゥっと大きく息を吸い込むと、その香りに自然と口の中に唾液が溜まってくる。
自分も溜まってるだろうに、こんな事で慌てている海斗は相変わらず可愛いなぁと笑ってしまう。
「ほら元気な暴れん坊をお兄ちゃんがなめなめしてあげるよ~?」
「うぁっ…」
慣れた手つきで海斗のボクサーパンツをずり下げると、うっすら先走りが滲んでいるモノにちょんっと舌を当てるとピクンと反応する。
それが可愛くて大きく口を開いてぱくんと咥えてやった。
そのまま全体に舌を絡ませつつ、時折括れに舌を這わせる。
「にいしゃ…きもちっ…相変わらず口の中にゅるにゅるっ!!」
海斗の気持ち良さそうな声が頭上から降ってきて、俺の気持ちも高ぶってくる。
本当に海斗は舐められるとふにゃふにゃだな。
俺の口がそんなに気持ちいいのか。
もっと舐めてやりたくなる。
ぢゅぽちゅぽっ
「ごめん海斗…手かして…」
「あう?」
口から一旦海斗のモノを引き抜いて、海斗の手を取った。
自分の股間にその手を持っていく。
「にいさんの熱い…」
「うあぁ…かいとぉ裏筋はだめっ」
俺が何がしたいのか分かった海斗は俺を気持ちよくさせようと親指で裏筋を撫でてくるので、ついつい自分でしたことなのに腰を引いてしまう。
海斗のを舐めて興奮したのもあるけど、今って朝じゃん。
俺も健全な男の子だからね。
「んむっ」
「ひっ、にいさん!!」
俺が再び海斗のをゆっくり口に含むと、俺を握る力も強くなる。
その刺激についつい腰が引けてしまうが、刺激されてしまえば俺はそれに従い海斗の手のひらに自分のモノを擦り付ける。
部屋には俺の口からする空気を含んだくぽくぽという音と、海斗が俺のを擦るぐちゅぐちゅという音が響いていてその音にお互い気持ちがどんどん高まってきた。
「兄さんっ…離して!!」
「んぐぐっ」
海斗のモノが口の中で弾けると同時に、海斗の手が俺のモノを搾り取るように刺激してくるので俺も呆気なく海斗の手にぶちまけてしまう。
もしかして自分でしてる時もこんな手つきなんだろうかって海斗のを飲み込みながら思った。
ゴクンゴクンって飲み込む音が頭に響く。
「うはっ」
ぢゅぢゅぢゅ
俺は竿の中に残っている精液を吸い取ると、それもごくんと飲み込んだ。
今度は海斗がオナニーしてるの見せて貰おうかなと思いつつ唇を指で拭う。
指についた汚れもちゅっと吸い取って海斗へ笑いかけた。
「海斗の搾りたてミルク美味しかっ…あっ!!」
にっこりと微笑みかけたところで、海斗の肩越しに壁掛け時計が見える。
余裕を持って起こしに来てくれたはずなのに、気が付けば結構時間が経っていた。
今から用意してギリギリ間に合うだろうか。
「やー。まいったまいった。せっかく海斗くんが起こしにきてくれたのに、時間ギリギリになっちゃったね」
「兄さんがいけないんだよ!朝なのに…あんなっ!!」
俺はいそいそと下着を身につけ、ベットを降りる。
当の海斗と言えば、ついさっきまで俺と散々厭らしい事をしていたくせにこの言いぐさである。
帰って来てからいっぱいお仕置きしてやろうって心に誓った。
「うへへへ」
そんな海斗が可愛くてついついだらしない笑いがこぼれたが、そのあと少女マンガよろしく食パンをくわえつつ家を後にした。
なんとか年明け最初のバイトには遅刻せずにカフェには着いたが、バイト仲間でもあり、友人の俊也には相変わらずキモイと一括された。
しかし、今日の俺はそんなこと気にならない位絶好調だった。
「あ!あれは抜きっこじゃなかった!」
「バカな事言ってないで、いいからこれ持ってけ!!」
俺が待機所でやっときちんと覚醒して今朝の事に気がついたが、新年早々のカフェは賑わっており俊也からは怒られてしまった。
なんだよ休憩時間になったらお正月お兄さんとどうだったのか聞いてやるんだからな。
俺は少し口を尖らせつつ不機嫌を表してみたけど、俊也はもうこっちを見ていなかった。
俺は気を取り直して顔に営業スマイルを貼り付けてフロアに戻る。
うんうん。
今日も女の子達はキラキラふわふわしてるね。
俺の海斗くんも可愛さは負けてないけどね。
「はーい。お待たせしました!」
女の子達のはしゃぐ声を聞きながら俺は家に居る海斗の事を思い出しながらバイトに勤しむ。
早く帰りたいとは思わなかったが、帰ったら何をしてやろうかなって思いながら楽しくバイトをしていた。
今年も海斗と楽しい1年になりそうだ。
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